一括下請負の禁止(丸投げ禁止)ってどういうのが該当するの?やってバレた場合はどうなるの?

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一括下請負禁止って聞いたことありますか?
いわゆる『丸投げ禁止』ってやつですね。

建設業を営まれているのであれば、一度は耳にしたことがあるんじゃないかなと思います。

 

私は建設業専門の行政書士事務所で働き始めて、『経管』『専技』の次ぐらいに覚えた言葉が『丸投げ禁止』でした。
働き始めて直ぐだったので、覚えたって言っても当時は言葉だけで、意味は全然分かって無かったんですけどね(笑)

今回はそんな思い出深い『一括下請負禁止』いわゆる丸投げ禁止を詳しく掘り下げてみようと思います。

1.丸投げ禁止についての条文を見てみましょう

建設業法第22条に一括下請負の禁止が規定されています。

まずはどんな風に規定されているのかを見てみましょう。

(一括下請負の禁止)
第二十二条 建設業者は、その請け負つた建設工事(元請業者)を、いかなる方法をもつてするかを問わず、一括して他人に請け負わせてはならない

2 建設業を営む者(下請業者)は、建設業者から当該建設業者の請け負つた建設工事を一括して請け負つてはならない。

3 前二項の建設工事が多数の者が利用する施設又は工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるもの以外の建設工事である場合(民間工事かつ共同住宅の新築以外)において、当該建設工事の元請負人があらかじめ発注者の書面による承諾を得たときは、これらの規定は、適用しない。

4 発注者は、前項の規定による書面による承諾に代えて、政令で定めるところにより、同項の元請負人の承諾を得て、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて国土交通省令で定めるものにより、同項の承諾をする旨の通知をすることができる。この場合において、当該発注者は、当該書面による承諾をしたものとみなす。

2.条文を読むのがめんどくさい人は、ここから

①丸投げ禁止の対象は誰?

はい、丸投げは誰に対して禁止しているのかってことですが、丸投げはするのも、されるのも禁止です

てことは、元請、下請両方に対して禁止しているってことですね。

 

②丸投げ禁止はなんで?

丸投げが禁止されている理由は次の2つがあげられています。

丸投げ禁止の理由
1.発注者の信頼を裏切ることになる
2.丸投げを繰り返して中間搾取を繰り返す悪徳ブローカー対策

家を新築したりリフォームするのって、人生で何度もあることじゃなく、どこの建設会社に頼むかってかなり調べたり評判を聞いて決めると思うんです。

それで『ここの会社なら大丈夫!』とお願いしたら、丸投げされて全然別の会社が施工したとなると、発注者さんが気の毒ですもんね。

また、丸投げを禁止していないと、まったく施工能力の無い、中間搾取だけを繰り返すブローカーがたくさん出現し、最終的に誰が施工するねん的な感じになり、欠陥住宅だらけになることも考えられます。

以上の理由から丸投げは厳しく禁止されています。

 

③合法的な丸投げ

以前『主任技術者、監理技術者のあれやこれやを解説。工事の途中交代っていけるの!?』でもチラッとお話しさせてもらったんですが、原則は丸投げ禁止なんですが、一定の場合だけ例外的に丸投げが出来る場合があるんです。

1.民間工事であること
2.共同住宅を新築する工事以外
3.元請が発注者あらかじめ一括下請負することを書面で承諾を得ている

上の1~3すべてを満たした場合は、合法的に丸投げすることが出来ます。

ただし、この際に気を付けないとダメなことが何点かあるので注意が必要です。

 

1.民間工事であること

まず第一に、工事が民間工事であること。

入札で落札した工事は全面的に丸投げ禁止です。

 

2.共同住宅の新築工事はダメ

例え民間工事であっても、共同住宅の新築工事を丸投げすることはできません。

逆に言うと、戸建の新築や、共同住宅の改築は要件を満たせば丸投げすることは可能です。

 

3.元請があらかじめ、書面で承諾を得る

はい、ここ重要です。

間違えたらアカンのが、元請が発注者にってことです。

下請が発注者に、話にいって承諾をもらっても要件を満たしたことにはなりません。

 

そしてもう一つのポイントがあらかじめ、書面でです。

工事の途中から丸投げしよっかなって、発注者に話に行くのでは合法になりません。

そして、口約束でOKをもらっても、合法的に丸投げが出来る要件を満たすことが出来ないので注意が必要です。

 

4.合法的に丸投げすることになっても、主任技術者や監理技術者は配置

例えすべての要件を満たして丸投げ出来るとなっても、一切工事にノータッチということは出来ません。

工事現場には、元請の主任技術者または監理技術者を適切に配置する必要があります。

 

3.丸投げってどうすること?

元請負人がその下請工事の施工に実質的に関与することなく、次に該当する場合は丸投げになります。

国交省のHPにどういう事が丸投げに該当するのかの判断基準が載っています。

丸投げになる場合
① 請け負った建設工事の全部又はその主たる部分について、自らは施工を行わず、一括して他の業者に請け負わせる場合

② 請け負った建設工事の一部分であって、他の部分から独立してその機能を発揮する工作物の建設工事について、自らは施工を行わず、一括して他の業者に請け負わせる場合

 

1.丸投げに該当した事例

①中間搾取をしていなくても、元請が全く関与していない。

  ⇒中間搾取の有無は関係なく、元請が関与していないのはダメ。

②元請が施工するよりも、めちゃくちゃレベルの高い家が建ったけど、元請は関与していない。

  ⇒粗悪品が出来るからダメなんでしょ?元請よりもレベル高いよって言っても、元請が関与してないからダメ。

③新築工事で元請は建具工事だけで、それ以外は一社の下請会社が施工した。

  ⇒建設工事の主たる部分を一括して丸投げしたことになるからダメ。

④戸建て住宅10棟を受注して、1棟だけを元請が施工して、残りは下請一社が施工した。

  ⇒他の部分から独立して機能を発揮する建設工事に該当するから丸投げです。

⑤工事の資材を元請が用意し、下請がすべて施工した。

  ⇒資材の提供だけでは実質的に関与したことにはならないので丸投げです。

 

4.丸投げがバレたらどうなるの?

丸投げをしたときの罰則は、もちろん規定をされています。

これは大阪府『建設業法に基づく監督処分基準 』の丸投げ禁止をした場合の処分基準です。

これは大阪府の処分基準ですが、他の都道府県でも概ね同じような処分があると思ってもらって大丈夫です。

丸投げしてしまったら15日間の営業停止処分が下りるわけですね。
もちろん、建設業許可の有無は関係なく、元請・下請関係なく処分が下りることになります。

何が丸投げになるか知らなくても、該当すれば処分されてしまいます。

なので、どういう事でどういう処分が下りるのかっていうことを知ることはとても大事。

会社や社員、そのご家族の生活を守るためには、知ることがとても大切。

知識は最大の武器です。

ということで、大阪府の処分基準を貼っておきますね。

良ければご一読ください。

 

5.最後に…

私のHPは、〇〇をしたらダメですという内容の記事が多めです。

それは、お客さんを守りたいからです。

知ってたら回避できるトラブルは全部飛び越えてもらいたい。

そう思ってあれはダメ、これもダメっていつも書いてます。

お客さんの転ばぬ先の杖になれたらいいなと思います。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

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