経営事項審査(経審)の点数アップ対策 ~決算前にやることリスト~

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  • 経審の点数を上げて、今よりも上のランクに入って大きな工事を落札したい。
  • 前年の経審では完成工事高は例年並みなのに、なぜかP点が下がってしまったので、今回はそんな事が無いように気をつけたい。
  • 初めて経審を受けようと思うので、出来る範囲で対策を取りたい。

民間工事だけではなく、公共工事を請負うためには、経営事項審査(経審)を受審して、その後それぞれの自治体ごとに入札参加資格申請という手続きをしなくてはいけません。

経営事項審査(経審)の点数に反映されるのは、建設業者さんが経審を受審する決算期の間に行った事だけです。

なので、決算日を過ぎてから、点数が上がる行動をされても、経審の点数アップには繋がりません。

今回は、『経審の点数アップ対策として決算日までにやって欲しい事』と、『せっかく加点出来たのにうっかりミスで加点にならなかった』という事が無いように、対策や確認をリストアップしてみようと思います。

ご興味があれば、どうぞお付き合いください。

 

1.貸借対照表(B/S)の数字を小さくする

経審の経営状況(Y点)の対策として、貸借対照表の金額は小さい方が良いんです。

貸借対照表の左側は資産で右側は負債と純資産の合計からなっています。

イメージとしては、資産がたくさんあって負債が少なかったら良い点数になるような気がしますが、経審的には資産も少ない方が良い点数になります。

完成工事高(売上高)が同じのA社とB社の建設会社が2社あったとしましょう。

この会社は売上高は同じですが、総資本(負債+純資産)の金額がA社は1億円、B社は2億円だったとします。

この場合、A社はB社よりも少ない資本でB社と同等の売上を計上することが出来たという事ですよね?

ってことは、A社の方が効率の良い経営をすることが出来ていると言えます。

なので、経審ではB社よりもA社の方が『総資本売上総利益率』という項目で高得点を出すことが出来るんです。

 

先ほど資本も少ない方が良いと言ったのは、貸借対照表の右と左は同額になるため、負債と純資産の合計金額を少額にするためには、資本合計も少なくある必要があるというわけですね。

 

〇貸借対照表(B/S)の数字を小さくするには?

では、ここからが本題です。

決算日までにして欲しい事は、完成工事未収入金(売掛金)を回収してください。

建設業に関係ない、土地や株券があったら売り払って現金化する。

そして、回収した売掛金や不要な固定資産を売却したお金で借入金を返済する。

回収不能の売掛金が、資産の部に何年も居座っているってことは無いですか?

貸倒損失として仕分処理を行いましょう。

こうする事で、貸借対照表の数字を圧縮する事が出来ます。

あとは、減価償却を実施してください。

ただし、減価償却を実施しすぎて赤字決算にするのは、別の項目でマイナスになってしまうので、絶対に止めてくださいね。

 

【ポイント】
  • 完成工事未収入金(売掛金)を回収して借入金を返済
  • 不要な固定資産などを売却して、その資金で借入金を返済
  • 減価償却を実施する(ただし、赤字にするのはダメ)

 

2.建設機械やダンプをお持ちなら、決算前に特定自主検査や車検を受ける

土木一式工事業で経審を受けはる建設業者さんは、建設機械やダンプをお持ちのだと思うんですが、決算前に建設機械は『特定自主検査』、ダンプは『車検』を受けるのをお忘れにならないようにしてください。

建設機械の特定自主検査は1年に1度受ける必要があるので、審査基準日(決算日)時点で検査が有効である事が必要です。

そしてダンプの車検についても、審査基準日(決算日)時点で車検切れになっていないか事前にご確認をお願いいたします。

建設機械やダンプの所有状況で経審の加点になるので、こちらも重要です。

 

3.監理技術者資格者証の有効期限を確認

監理技術者資格者証の有効期間は、監理技術者資格者証の交付日から5年間です。

審査基準日(決算日)に監理技術者資格者証が有効でなければ、せっかく監理技術者資格者証をお持ちでも5点の加点になってしまいます。

1級の資格者で、監理技術者資格者証+監理技術者講習修了していれば、6点の加点になります。

講習の有効期限が切れていないか、決算前に有効期限の確認を忘れずに行いましょう。

 

 

4.建退共や中退共への加入&掛金納入

建退共への加入は、費用対効果バツグンなので、加入することが出来るなら加入して欲しいと思います。

建退共への加入&掛金納入で、経審を受ける全業種が15点ずつ加点されます。

全業種15点ずつ上げようと思ってもなかなか厳しいので、これは本当におススメです。

また、事業主が払込む掛金(共済証紙代金)は、法人であれば全額損金、個人事業は全額必要経費として全額免税になります。

 

※令和4年4月1日から加入履行証明の発行基準が非常に厳しくなります。前年度までは、決算後に証紙を購入していれば、加入履行証明を発行してもらえましたが、決算後の証紙購入や、自社の手帳所持者≦手帳更新数となっていたり、下請に証紙を支給していなければ発行してもらえなくなりました。

 

【ポイント】
  • 建退共への加入&掛金納入で全業種+15点
  • 掛金は全額免税

 

5.防災ボランティアへの登録で加点

防災活動への貢献もかなり点数が上がるので、押さえておきたい加点ポイントですね。

防災活動への貢献とは、何か災害が起こった際に、官民で協力体制を整えて優先的に応急工事を行うといったことが基本となっています。

しかし、建設工事を行うだけが防災活動への貢献となるわけではなく、災害物資の輸送、河川の状況の報告や電源の供給など、出来る範囲で協力することでも防災活動への貢献となるようです。

 

防災活動への貢献で全業種+20点の加点があります。

 

〇防災活動への貢献ってどうやったら加点になるの?

経審を受ける会社が、官公庁と防災協定を締結している場合や、会社が加入している団体が、官公庁と防災協定を締結している場合に20点の加点を受けることが出来ます。

例えば、『大阪府防災ボランティア』への登録、官公庁と防災協定を締結している『建設業協会』への加入、堺市に会社があるなら『堺市の消防協力事業者』への登録なんかが考えられます。

あとは、宅建業をされている建設会社さんでしたら、ご加入の宅建業協会が防災協定を官公庁と締結されていると思うので、そちらで防災活動への貢献が認められます。

 

【ポイント】
  • 出来る範囲の協力で貢献を
  • 大阪府防災ボランティアへの登録
  • 防災協定を締結している建設業協会への加入
  • 消防の協力事業者登録等があれば登録
  • もちろん決算日までに手続きを

 

6.法定外労働災害補償制度加入で加点

法定外労働災害補償制度とは、政府が行っている労働災害補償制度(労災保険)に上積みして労災補償を手厚くする制度です。

1.(公財)建設業福祉共済団
2.(一社)建設業労災互助会
3.全日本火災共済協同組合連合会
4.(一社)全国労働保険事務組合連合会
5.民間の保険会社

との間で、保険契約を締結している場合に経審で+15点の加点となります。

 

ただし、次の6つの要件をすべて満たさないと加点されないので注意が必要です。

法定外労災制度での加点要件
1.業務災害および通勤災害が対象
2.直接雇用だけでなく、下請けも含む
3.死亡および障害等級第1~第7等級までの全て補償
4.すべての工事現場が対象
5.審査基準日時点で有効な保険
6.法定保険である労災保険に加入している

もちろん経審で加点となるためには、決算日時点で有効である必要があります。

期限切れになっていないか契約書等で有効期限の確認をしておきましょう。

【ポイント】
  • 決算日時点で有効か確認する
  • 6つの要件を満たしていますか?
  • 現場の損害保険ではありません

 

7.最後に…

今回は、決算前に点数アップのためにやってもらいたい事を書いてみました。

売掛金は早めに回収して、借入金の返済するようにしてください。

社長個人から会社へ貸している資金も、必要が無い場合は、早めに返済するようにしてください。

 

売上が昨年よりも上がってるのに、経審の点数が下がるというのは、決算書の内容が経営的に良くない内容になってしまっているという事が考えられます。

以前書いた、経審における『良い決算書』、『悪い決算書』があるのをご存じですか?というのがあるので、合わせて読んでいただければ嬉しいです。

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

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