建設業者の法人成り~事業目的や資本金は?決算月は何月がおススメ?~

記事更新日:

「そろそろうちも会社作ろうと思うねんけど、先生どうしたらいいですか?」

このようなご相談を受けることが多いため、建設業を営むための会社設立(法人成り)について今回はお話させて頂こうと思います。

個人事業主から法人成りを考えられるタイミングは色々あると思います。

例えば…

  • 大手企業と取引をするために、対外的な信頼度の向上を目的とした法人成り
  • 所得税と法人税どちらの税率が良いか検討され、節税のための法人成り
  • 建設業界は常に人材不足のため、優秀な人材の確保を目指しての法人成り
  • 建設業許可取得のための要件が整ったので、建設業許可取得のタイミングでの法人成り

あとは法人成りとは違いますが、入札参加資格で地元業者となるために子会社設立なんかもありますね。

地元業者は入札参加資格申請時に地元加点が有るなど有利になることがあります。

 

大阪府の建設工事でも地元加点が採用されています。

皆さんそれぞれの理由があって、建設業の会社設立をご検討だと思います。

理由は様々であっても、建設業を営むことを目的とする会社であれば、注意すべき点は似通ってきます。

それでは建設業者さんの会社設立(法人成り)についての注意点をお話ししていきましょう。

 

1.建設業許可を取るなら気を付けましょう。会社の目的はなんですか?

個人事業と違って会社は『事業目的』というものを決めなくてはいけません。

建設業を営むのですから事業目的は

1.土木工事業
2.建築工事業
3.…

という風になります。

ちなみに大阪府では『建設業・土木建築工事業』という記載があれば、建設業の全29業種について許可申請が認められています。

 

「うちは左官屋やから、その他はやらへんから別に要らんわ。」と言わず『建設業・土木建築工事業』も目的に記載しておいてください。

数年後建設業許可の業種追加をお考えになられた時に、定款に事業目的が無くて変更登記等の手間とお金が余計にかかることになってしまいます。

「事業目的が無かったら色々出来へんのやったら、何でもぶっこんどいたら良いんやろ?」

という声が聞こえてきそうですが、関連性の無い事業目的をやみくもに入れるのはお勧めしません。

 

理由は『何をする会社か分からなくなってしまい、信用度が下がる』からです。

銀行口座が犯罪に利用されることを避けるため、昨今銀行口座開設の審査が非常に厳しくなっています。

新設会社で銀行との取引き実績がなく、それに加えて何が本業か分からない会社となると、法人名義の銀行口座の開設を断られたり、融資を受けられなかったりという不都合が出てきます。

個人時代からの取引実績があり、法人成りでの銀行口座開設であっても、メガバンクでは口座開設を断られたという話もチラホラ聞きます。

ですので本業からかけ離れた、多種多様な事業目的は避ける方が無難でしょう。

 

しかし、建設業と関連性のある事業目的については記載するようにしてください。

例えば『産業廃棄物収集運搬業』は入れた方が良いのではないでしょうか?

建築現場で排出される建廃は、自社が元請である場合は産業廃棄物収集運搬業許可が無くても中間処理場まで運ぶことが出来ます。

しかし自社が下請の立場で建設産廃を収集運搬するのであれば、産業廃棄物収集運搬業許可が無ければ建廃を運ぶことは出来ません。

元請さんから『産業廃棄物収集運搬業許可』取得を求められる事も考えられますので、事業目的に追加されてみてはいかがでしょう。

【ポイント】

① 本業とする建設業 + 『建設業・土木建築工事業』は記載する
② 何でもかんでも事業目的に記載しない
③ 建設業関連で将来的に必要となる事業について記載する
④ 事業拡大に伴い将来的にやりたい事業(本業から離れすぎない)を目的に記載する

2.会社の資本金はいくらが良いの?

会社設立後に建設業許可を取得されるなら、資本金は『500万円』が良いと思います。

建設業許可要件の一つに『財産要件』があり、一般建設業許可においては『自己資本が500万円以上あり』そして『倒産することが明白である者でない』ことで要件をクリアするからです。

自己資本というのは決算書の貸借対照表の右下部分で『純資産合計額が500万円』あれば建設業許可の財産要件を充足します。

 

  • 自己資本=資本の部=(資本金+資本剰余金+利益剰余金)

なので、資本金を500万円で会社を設立していれば

  • 500万円(資本金)+0円(資本剰余金)+0円(利益剰余金)=500万円(自己資本)

となり、設立直後で倒産が確実です!ということも無いはずなので、財産要件をクリアすることが出来るんですね。

 

「資本金が500万円以上あれば良いのなら、余裕があるし資本金1,000万円にしようかな?」と考えられる方もいらっしゃるかもしれませんね。

資本金の額が多ければ多いほど、対外的な信用度は上がります。

とても素晴らしい事だと思いますが、いきなり課税事業者となってしまいますので、その点については顧問の税理士さんにご相談くださいませ。

【ポイント】

  • 資本金は500万円が理想

 

3.会社の役員はどうしたらいい?1人でもOK?

役員は一応1人だけでも大丈夫ですが、何人か役員さんがいらっしゃる方が良いと思います。

要件の一つである『経営業務の管理責任者』を社長さんがされるという事になると思いますが、急なご病気や突発的な事態で経営業務の管理責任者を続けられないとなれば、経営業務の管理責任者になり得る役員が居ないため、廃業となってしまうからです。

リスク管理の観点から、常勤役員を複数名置かれることをお勧めします。

ポイントとしては、役員は『常勤』である必要があります。

 

建設業の経営経験年数については【非常勤】期間はカウントされないためです。

役員の任期は最長10年まで伸ばすことが出来るので、10年にされてはどうでしょうか?

任期が短いと重任登記を頻繁にする必要があるため

「この前重任登記したところだから大丈夫!」と思っていても、気が付いたら任期が切れていたというのは良く聞く話です。

「任期が長いとそれはそれで忘れてしまいそう。」とおっしゃる方もおられると思いますが、懇意にされている士業から「社長〇月ぐらいに重任登記しないとダメですよ。」とご連絡があると思います。

役員にまつわる建設業許可要件には『経営業務の管理責任者』と『欠格要件』があります。

ご自身の新設会社の役員に、信用出来ない人物を選ぶということは考えにくい事ですが、建設業許可には『欠格要件』があるため、役員選びは慎重になさってください。

「建設業法に違反しなければ良いんでしょ?」と聞かれることがありますが暴行、傷害、脅迫等の罪で罰金以上の刑に処せられた場合や、禁固刑以上の刑に処せられた場合も欠格要件に該当してしまいます。

【ポイント】

① 役員は出来れば常勤役員を2名以上
② 役員の任期は10年で
③ 信用できる人を選びましょう
④ ご自身も欠格事由に該当しないように気を付けてください

4.建設会社の決算月はいつが良い?

法人になると決算月は会社で決めることが出来ます。

個人の時と同じで12月決算や、スタンダードな3月決算という会社さんも多くおられます。

その他は税理士さんとご相談されて、繫忙期を避けて決算月を設定されておられる会社もありますね。

公共工事への参入を考えておられない場合は、決算月は正直いつでも良いと思います。

もしも経営事項審査を受審し公共工事を受注していきたいとお考えであるならば、決算月はお考えになられた方が良いのではないでしょうか。

秋からの入札参加資格申請更新のタイミングに間に合い、経審受審のタイミングを検討出来るように、決算月を決めていただければと思います

【ポイント】

① 繁忙期を避ける
② 公共工事への参入を検討しているなら6・7・8月決算がオススメ

5.その他気をつけたら良いことは?

社名については皆さん色々考えられると思うんですが、社名についてこんなご相談を受けた経験があります。

「うちは塗装工事と管工事をやりますが、社名でお客さんに怪訝な顔をされることがあるんですよね…。社名変えた方が良いと思いますか?」

こうお話になられた会社さんのお名前は『〇〇塗装』さん。

配管工事の現場で、社名入りの上着を見てお客さんに微妙な顔つきをされるそうです。

塗装屋さんが配管さわれるの?って。

私はそのままの社名で全然問題ないと思いますが、その会社さんは〇〇工務店にしとけば良かったなとおっしゃっていました。

建設業を営むための会社設立(法人成り)での注意点は大体こんな感じではないでしょうか。

  • 個人から法人へ
  • 事業拡大のために子会社の設立

全てとても喜ばしいことですね。

皆様の新たな門出を、行政書士としてお手伝いさせていただければと思います。

提携させてもらっている他士業の先生方をご紹介することも出来ますので、会社設立をご検討されておられるなら、一度ご連絡ください。

 

ご相談から会社設立・建設業許可までの流れ

電話かメールにて面談のご予約をお願いいたします(初回相談無料、2回目以降は5,000円/h)。
面談にて建設業許可の要件を確認させていただきます。
ご依頼いただけるのであれば、司法書士をご紹介させていただきます。
(定款認証~登記まで → 実費(定款認証・登記)+司法書士報酬額の合計30万円程度)
会社設立
建設業許可申請の請負契約書を作成します。
建設業許可申請書の押印書類を作成します。
本店にお伺いさせていただき、必要書類のお預かり、営業所の写真撮影、実費(建設業許可取得のため)のお預かり、押印書類へ印鑑を頂戴いたします。
書類作成、各種証明書を取得します。
許可行政庁へ申請(大阪府の標準処理期間は補正が解消されてから30日です)
申請(補正解消)から30日後に建設業許可通知書が貴社へ送付されます。

手続報酬について

事件名 報酬額(税込) 摘要
建設業許可申請(法人・新規・知事許可) 176,000円~ 許可の種類・会社の規模・経営管理責任者・専任の技術者の要件により増額あり

※手続報酬とは別に、新規申請には許可行政庁へ払込む申請手数料90,000円(大阪府)と各種証明書の実費が発生いたします。

手続報酬のお支払は、現金・銀行振込・クレジットカード決済をお選びいただけます。

月額5,000円(最低契約1年間)の安心サポート契約(1年間相談料 無料)にお申し込みいただきますと、毎年提出する義務がある『決算変更届』1期分の手続報酬38,500円(税込)を無料とさせていただきます。

 

 

 

 

建設業許可や経審のご相談

大阪・奈良の建設業許可や経営事項審査に関するご相談は、お電話・メールにて承っております。

メールは24時間承っておりますが、返信に2営業日ほど頂く場合がございます。

お電話でのお問い合わせ

「ホームページを見た」とお伝えください。

受付時間:平日9:00 - 18:00(土日祝予約制)
メールでのお問い合わせ

    ご希望の連絡先 (必須)

    ページトップへ戻る