今年は法人成り後の建設業許可取得や、新しく出来た制度の『建設業許可の譲渡』のご依頼が続いたので法人成りが多いなと思っていたら、どうも税金対策で法人成りされる個人事業主さんが多いそうですね。
法人成りの理由は、節税・対外的な信用の向上・人材の確保・融資…
色々な理由があると思いますが、今回は節税のために個人事業から法人成りされ、そのタイミングで建設業許可を取得されたケースについて、お話をさせていただきます。
➡ 建設業者の法人成り~事業目的や資本金は?決算月は何月がおススメ?~
目次
1.ご相談内容
相談者様の状況
個人事業の経営年数 | 8年 |
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保有資格 | 内装仕上げ施工・カーテン施工・天井仕上げ施工・床仕上げ施工・表装・表具・表具工(2級) |
工事業種 | 内装仕上工事業 |
ご相談内容
そのタイミングで建設業許可も取ろうと思うんですが、取れるでしょうか?
それと、会社設立ではどんな事に気を付ければいいですか?
2.お客様との打ち合わせ内容
① 事業目的についての打ち合わせ
個人事業と違って、会社は『事業目的』というものを決める必要があります。
会社の事業目的に〇〇業と記載がないと、営業許可を取ることが出来ないという許認可も多くあります。
建設業許可もその一つで、事業目的に建設業を営むことが記載されていないと建設業許可を受けることは出来ません。
後は、建設業に関連のある事業で、される可能性のあるものを記載するようにおススメしました。
② 資本金について打ち合わせ
建設業許可要件に『500万円以上の資金調達力』というものがあります。
これは、銀行からの融資でも、社長個人が準備したお金でも良く、500万円以上のお金を準備する事ができる資金力や信用があるということを証明するための許可要件です。
この要件は、資本金を500万円以上にして、1期目の決算が到来する前に建設業許可申請をすれば、銀行の残高証明書などを準備する必要が無いのです。
以上のことから、建設業許可を見据えた会社設立時は、出来る限り資本金を500万円にしてもらっています。
③ 個人事業主の経験で経営業務管理責任者(経管)になれるか?
建設業許可要件に、建設業を5年以上経営した経験者が経営陣にいることというものがあります。
今回の相談者様は、個人事業で8年やってこられたので、何の問題も無いように感じますが、所得税の確定申告書を確認したところ『給与所得』に金額が載っている年が2年間あったため、実質6年間の建設業経営ということになりました。
【注意事項】
- 確定申告書に給与所得がある場合、建設業は副業とみなされ、経営していた経験にならない。
④ 建設業許可を取るのは内装仕上工事業だけ?
ご相談者様がお持ちの資格は「内装仕上げ施工・カーテン施工・天井仕上げ施工・床仕上げ施工・表装・表具・表具工(2級)」のため、3年間の内装仕上工事業についての実務経験を証明する必要があります。
それ以外の期間で10年以上の実務経験を証明することが出来るか、別の技術者さんが資格を持っているまたは、別の技術者の10年以上の実務経験を証明することが出来ないか、聞き取りを行いました。
今回は、内装仕上工事業以外の工事業種の許可を取得するのは難しいと判断し、内装仕上工事業のみの申請とすることにしました。
⑤ 役員と株主の欠格要件についてご説明
建設業許可要件に、欠格要件というものがあります。
会社の経営陣(役員や株主)に反社会的勢力に属する方がいたり、建設業法に違反して処分された経験がある方や、犯罪歴がある方がいると、建設業許可を取得する事が出来ないというものです。
ですので、新設会社の役員や株主に、そのような方がいらっしゃらないか確認とご説明をさせていただきました。
3.建設業許可取得までの流れ
① | 司法書士の先生と会社設立についての打ち合わせ |
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② | 建設業許可申請書の作成、各種証明書の取得、疎明書類の収集。 |
③ | 会社の設立登記完了後、税理士の先生から法人設立届のコピーをもらう。 |
④ | 常勤役員の社会保険の手続きが完了し、標準報酬決定通知書のコピーをもらう。 |
⑤ | 大阪府の窓口へ建設業許可申請書を提出。 |
⑥ | 申請から約30日後に、内装仕上工事業の建設業許可が無事に下りました。 |
ご相談から約1か月で建設業許可申請が完了しております。
4.会社を設立して建設業許可を取得されたい方へ
同じ会社を設立するという目的であっても、税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士それぞれの視点からでは見え方はかなり違います。
会社を設立するということは、人生でそう何度もあるものではありません。
ですので、しっかりと各士業で連携を取り、ご相談者様の一番良い形での法人成り・建設業許可取得をサポートできるようにと考えております。
「会社を設立して建設業許可を取りたい!」とお考えでしたら当事務所にご相談されませんか?
まずは、お電話かお問い合わせフォームよりご連絡ください。