公共工事の受注を検討している建設業者さんや、現在すでに経審を毎年受審されて公共工事を受注されている建設業者さんは、決算を迎える前にやっておいた方が良い事が何点かあります。
その中の一つが税理士、行政書士との打ち合わせです。
目次
1.経審の点数を上げたいなら期中に対策を
経審というのは、公共工事へ参入するために必要となる前段の手続きの一つで、建設業者が直近の決算期にどれだけ売上があったのか、それぞれの工事業種の完成工事高はどれくらいで、そのうち元請工事はどれだけなのか。
技術者は何人居て、どんな資格を持っているのか、会社の経営状態や会社は社会的責任を果たしているのかという事を点数にして、誰が見ても一目で分かるようにするための手続きです。
②利益がどれだけ蓄積されているか
③経営状況
④技術者と元請完成工事高(業種別)
⑤社会的に良い会社か
経審は建設業者が期中に行ったことを決算後に点数化するため、決算後にどれだけプラスになる事をやったとしても経審の点数が上がるのは翌年になってしまいます。
ですので、今年度の経審の点数を上げたかったら期中に対策をする必要があります。
【ポイント】
- 経審の点数を上げるためには期中に対策をする必要があります
2.経審は入札を見据えて受けることが大切
経審を受けただけでは入札に参加できる訳ではなく、それぞれの自治体ごとに入札参加資格申請という、入札の名簿に会社名を載せてもらう手続きが必要になります。
経審を受ける時は、フワッとした感じで手続きをするのではなく、入札参加資格を意識して経審を受ける必要があります。
『小さい工事を年に数件落札していきたい』とか『実績を作ってきたし、そろそろ大きな工事を狙っていきたい』なんて感じで入札へのご希望は必ずあるはずです。
会社の規模や技術者の人数や保有資格的に、点数が高ければ高いほど良いという事では無い点が難しいところですね。
①入札の格付け(ランク)や足切り点数を把握しておく
入札に入りたい自治体はいくつありますか?
少ない建設業者さんだと1つ2つ、多い業者さんだと20~30って建設業者さんもいてはります。
たくさん入札に入ってはる建設業者さんでも、本当に力を入れているのは2つ3つとかじゃないでしょうか?
入札参加資格は、経審の点数で〇点~〇点はAランク、〇点~〇点はBランクというように落札できる金額が変わってくる格付けというものが行われます。
(大阪府HPより)
格付けは経審の点数そのままというのではなく、経審のP点に地元加点、障害者雇用、エコアクション等の点数が加点されたものです。
『建築一式でCランクに入りたいから、730点から839点の範囲になるように経審のP点を調整したい。』
というような事を期中に決めていただく必要があります。
それを踏まえて「地元加点100点があるので、P点は630点から739点を目指しましょう。」という流れになります。
また、格付けが無い業種なども、『この入札に参加できるのは、P点が〇点以上の建設業者』と出ている事が多いので足切りが大体何点なのかという事を知るために、自治体の入札案件が出ているHPを定期的にチェックしておくようにしましょう。
【ポイント】
- 入札の格付けや、足切り点数を事前にチェックしておきましょう
3.赤字決算や点数が下がりそうな時は、しっかりと打ち合わせを
赤字決算だと経審の点数は下がるだろうと予測がつくと思いますが、それ以外にも経審の点数が下がる要素は何点かあります。
②借入金がかなり増えた
③完成工事高が大きく下がった
他にも色々と下がる要素はあるんですが、目に見えて打撃を食らうのはこれかなと思います。
それぞれの金額がどの程度かで打撃も変わってくるんですが、出来る対策はするようにしましょう。
借入金の増大+赤字決算で100点近く前年度より下がった会社さんがいましたが、社会性の加点などで前年度と変わらない点数を維持できたという事もありました。
また、会社の決算前に、税理士さんからご連絡をいただき「こうしてもらった方が、この部分で補えるからこうして欲しいです。」みたいな感じで打ち合わせをすることもあります。
【ポイント】
- 赤字などで点数が下がりそうなときは、決算前に税理士、行政書士と打ち合わせを
4.最後に…
『公共工事を受注するために、経審を受けよう!』とお考えになった時は、決算を迎える前にご連絡をいただければありがたいです。
「最初だから点数は低くていいよ。」という会社さんや「せっかくだから点数は高い方が良い!」とおっしゃる会社さん。
皆さん色々な思いで経審を受けようとお考えになられたと思います。
初年度からいきなり落札された会社さんや、経審を受けるのを止めようかと思っていたけど、その年に落札された会社さん。
皆さん色々ですが、落札のお電話をいただくと私も本当にうれしいんです。
今後も皆さんが良い工事を落札されて、益々ご活躍されることをお祈りいたします。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。