建設業許可の欠格要件を詳しく解説!該当したら建設業許可取れない & 取消しです。

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建設業許可を取得する際に『欠格要件』というのが有るんですが、聞いたことありますか?

この欠格要件てのは、なかなかややこしい要件で、正確に理解するのが大切なんだけど凄く難しいんですよね。

 

さて、今回はそんなややこしい欠格要件について、詳しく掘り下げていこうと思います。

許可要件を正確に把握するということは、建設業許可取得と維持の為にとても大事なことです。

建設業許可を新規で取得する際や、業種追加、許可の更新、役員等の追加、営業所の追加や令3条使用人の変更などの際に、この欠格要件は審査されるようです。

 

また、この欠格要件は隠してたらバレないということはありません。

申請後に警察に前科照会をして調べるので絶対にバレます。

『知事と大臣は縦割り行政やから連携してない』そんな事は決してありません。

正しい知識を身に着けて、建設業許可だけではなく社員や家族の生活を守りましょう。

 

1.欠格要件の対象になるのは誰?

個人事業の場合

欠格要件の対象者
  1. 個人事業主(代表者)
  2. 支配人
  3. 営業所の所長

 

法人の場合

欠格要件の対象者
  1. 当該法人(申請する会社自身)
  2. 取締役(非常勤含む)
  3. 株主
  4. 相談役
  5. 顧問
  6. 執行役
  7. 業務を執行する社員
  8. 組合の理事長(法人格あり)
  9. 令3条使用人(支店長)
  10. 1~8と同等の支配力のある人

 

これらの立場の方たちが、欠格要件に該当すると新規申請時は不許可となり、建設業許可業者である場合は建設業許可が取消されます。

建設業許可が取消されると、最初に欠格要件に該当していた人だけではなく、個人事業主の場合は1~3、法人の場合は1~10の人たち全員が新たに欠格要件に該当することとなり、取消処分から5年間建設業許可を受けることが出来なくなります。

 

2.建設業法の欠格要件の条文を見てみましょう

欠格要件(建設業法第8条、同法第17条(準用))

*国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次の①から⑭のいずれか(許可の更新を受けようとする者にあっては、①又は⑦から⑭までのいずれか)に該当するとき、又は許可申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、許可をしてはならないと建設業法で規定されています。
 

① 破産者で復権を得ないもの

 
② 第29条第1項第5号(廃業等)又は第6号(許可を相続出来なかった)に該当することにより一般建設業の許可又は特定建設業の許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
 
③ 第29条第1項第5号又は第6号に該当するとして一般建設業の許可又は特定建設業の許可の取消しの処分に係る行政手続法第15条の規定による通知(聴聞の通知)があった日から当該処分があった日又は処分をしないことの決定があった日までの間に第12条第5号に該当する旨の同条の規定による届出をした者で当該届出の日から5年を経過しないもの
 
④ 前号に規定する期間内に第12条第5号に該当する旨の同条の規定による届出があった場合において、前号の通知の日(聴聞の通知)前60日以内に当該届出に係る法人の役員等若しくは政令で定める使用人であった者又は当該届出に係る個人の政令で定める使用人であった者で、当該届出の日から5年を経過しないもの
 
⑤ 第28条第3項又は第5項の規定により営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
 
⑥ 許可を受けようとする建設業について第29条の4の規定により営業を禁止され、その禁止の期間が経過しない者
 
⑦ 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日(執行猶予が明けたらOK)から5年を経過しない者
 
⑧ この法律(建設業法)、建設工事の施工若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定で政令で定めるもの若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定(同法第32条の3第7項及び第32条の11第1項の規定を除く。)に違反したことにより、又は刑法第204条(傷害)、第206条(現場助勢)、第208条(暴行)、第208条の2(凶器準備集合及び結集)、第222条(脅迫)若しくは第247条(背任)の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
 
⑨ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(⑭において「暴力団員等」という。)

⑩ 精神の機能の障害により建設業を適正に営むに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者

⑪ 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号又は次号(法人でその役員等のうちに①から④まで又は⑥から⑩までのいずれかに該当する者のあるものにかかる部分に限る)のいずれかに該当するもの

 
⑫ 法人でその役員等又は政令で定める使用人のうちに、①から④まで又は⑥から⑩までのいずれかに該当する者(②に該当する者についてはその者が第29条第1項の規定により許可を取り消される以前から、③又は④に該当する者についてはその者が第12条第5号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、⑥に該当する者についてはその者が第29条の4の規定により営業を禁止される以前から、建設業者である当該法人の役員等又は政令で定める使用人であった者を除く。)のあるもの
 
⑬ 個人で政令で定める使用人のうちに、①から④まで又は⑥から⑩までのいずれかに該当する者(②に該当する者についてはその者が第29条第1項の規定により許可を取り消される以前から、③又は④に該当する者についてはその者が第12条第5号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、⑥に該当する者についてはその者が第29条の4の規定により営業を禁止される以前から、建設業者である当該個人の政令で定める使用人であった者を除く。)のあるもの

⑭ 暴力団員等がその事業活動を支配する者

 
 

建設業欠格要件の条文を分かりやすく解説

①の破産をした場合は、裁判所によって免責の許可が出れば、3ヶ月から6か月程度の期間で、復権を得ることができます。

裁判所によって免責の許可が出ず、債権者の同意による破産手続廃止にもならなかった場合には、数年単位の期間がかかる場合もあるようです。

しかし、そのようなケースはめったになく、大体のケースでは自己破産をしてから半年経てば、復権を得ることができるようです。

 

【よくある質問】

「破産はしてないけど、ブラックリストはどうなんかな?」

➡ 建設業法では、ブラックリストを欠格要件とは定めていないので、ブラックリストに載っていても建設業許可上は問題ありません。

 

② これはそのままですね。

許可が取消された日から、5年間は建設業許可を取ることが出来ません。

この場合、5年間許可を取れない人というのは『1.欠格要件に該当する人は誰?』に記載してる人たちになります。

 

【よくある質問】
「私は以前許可を取消された会社で専技をしていました。私は新しい会社で支店長になることは出来ないのでしょうか?」
 
➡ 取消された会社で役員等や令3条の使用人(支店長)では無く、専任技術者であった場合は、新しい会社で支店長となることが出来ます。
 
 
③ これについては、なかなか意味が分かりにくいですよね。
  1. 許可の取消しのための聴聞の通知が来てから、取消処分のあった日 
  2. 聴聞の通知が来て、取消処分をしないことの決定があった日
『ヤバい取消されたら5年間許可取れないぞ!』と、1.と2.の日までに廃業届を出しました。
取消し逃れの為に廃業届を出しても、その日から5年間は新規で許可取らせへん!って言ってるんですよね。
 
 
④ これは③で廃業届を出した建設業者で、聴聞通知が来る60日以前からその法人の役員や支店長であった人は、廃止届の日から5年間は欠格要件に該当するということです。
 
 
⑤ これは、入契法の規定に違反して指示処分や営業停止をくらったり、主任技術者や監理技術者の施工管理がえげつなくて指示処分や営業停止の期間中に建設業の許可はだしませんということですね。
 
 
⑥ 許可が取消された場合、その許可業者の役員等、個人事業主、令3条使用人は同時に営業を禁止を命ぜられます。
許可が取消されたから他の会社を設立して、同じ経営陣がスライドして似た名前で建設業許可を受け、変わらず営業するのって社会的に問題ですよね?
そうならないように、役員等、個人事業主、令3条使用人は取消しから5年間は欠格要件に該当するということです。
 
 
⑦ 禁錮刑以上になったら、罪名に関係なく欠格要件に該当します。
執行猶予つきの禁固刑だった場合は、執行猶予期間が終わるまでは欠格要件に該当します。
執行猶予期間が明けてから5年間ダメではなく、執行猶予期間が終われば欠格要件に該当しません。
禁錮刑以上になった場合は、刑期が終わってから5年間ということですね。
 
【よくある質問】

「駐禁を放置しまっくってたら、ある日警察が来て逮捕されました。一時間ぐらい牢屋に入れられて、きつく怒られその後罰金を払って帰って来ました。これは禁錮刑なんでしょうか?」

➡ 禁固刑では無いと思われます。

この場合の牢屋というのは警察署の中にある留置所かな?

その後罰金を払って帰されてるなら『交通違反の罰金刑』だと思いますが、申請の前に警察署に問い合わせる方が無難だと思います。

残念ながら、本人さんにしか罪名は教えてくれないので、代わりに行政書士が警察に確認することは出来ません。

交通違反の罰金は、通常なら欠格要件ではないので、早めに罰金を払ってスッキリしてもらった方が良いかなと思います。

放置しまくって禁固刑になっちゃうっていうのも聞くので、『たかが交通違反』と侮らず、建設業許可を守ってくださいね。

 

⑧ 先ほど⑦では禁固刑以上は罪名に関係なく欠格要件だとお話しました。

今回は、罰金刑が欠格要件に該当する場合をご説明させてもらいます。

このとき大事なのは、なんの法律で罰せられているのかということです。

 

【建設業法違反での罰金刑】
建設業法違反での罰金以上の刑
  1. 無許可営業
  2. 無許可業者と500万円以上(税込)の下請契約を結んだ
  3. 営業停止処分を無視して営業した
  4. 営業禁止処分を無視して営業した
  5. 虚偽または不正の事実に基づいた申請(届出)で建設業許可を受けた
  6. 虚偽の事実に基づい経営事項審査を受けた

 

【その他の法令での罰金刑】
罰金以上の刑で欠格要件に該当する法律
  1. 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律
  2. 刑法 第204条(傷害罪)、第206条(現場助成罪)、第208条(暴行罪)、第208条の3(凶器準備集合罪)、第222条(脅迫罪)、第247条(背任罪)
  3. 暴力行為等処罰に関する法律
  4. 建築基準法
  5. 宅地造成法
  6. 都市計画法
  7. 景観法
  8. 労働基準法
  9. 職業安定法
  10. 労働者派遣法

ここで注意が必要なのが、暴力行為等処罰に関する法律です。

この法律は、暴力団員による脅迫行為等を取り締まるための法律というイメージが強いですが、一般人のトラブルにも適用される法律です。

例えば、物騒な話ですが、路上でケンカの末に刃物を出して警察に逮捕され、罰金刑になったとしましょう。

この場合、刃物での罰金刑なので、銃刀法違反で罰金刑なのかと思っていたら、実はこの暴力行為等処罰に関する法律で罰金刑だったということも考えられます。

罪名が正しく分からないと、欠格要件に該当するかしないかを判断することが出来ません。

また、罪名は警察に問い合わせても、本人にしか教えてもらえないので、何か思い当たることがある場合は、警察に問い合わせてみましょう。

 

また、民事不介入と言っていたのはもう昔の話しです。

警察署の生活安全課は、連日連夜DVや虐待の対応で常に多忙を極めているそうです。

夫婦喧嘩がヒートアップして暴行、傷害、脅迫、暴力行為等処罰に関するで罰金刑になって欠格要件に該当することの無いように、どうか夫婦仲良くしていただけたらと思います。

 

⑨ はそのままですね。

暴力団員だと欠格要件に該当するので、暴力団を辞めてから5年間経過しないと許可は取れません。

 

⑩ 精神の機能の障害や、認知能力や意思疎通が出来なければ建設業を営めません。

 

⑪ 結婚している未成年者は成人と同じ行為能力があるので問題ありません。

未婚の未成年者の場合は、その法定代理人が全ての欠格要件に該当していると建設業は営めません。

 

⑫ 取消し、取消し逃れの廃業届、営業禁止前から働いていた欠格要件の対象者は、自分自身が欠格要件に該当したのでなくても、勤め先の会社が取消し等になった場合は、自分自身が欠格要件に新たに該当する者になります。

⑬ は個人事業のときの⑫バージョンですね。

取消し等の前から勤めている令3条使用人が新たに欠格要件に該当してしまうということですね。

 

⑭ 暴力団員等が内部にはいないけど、経営に関して外部的に支配している場合は欠格要件に該当します。

 

3.どんなことが建設業の虚偽申請となるのか

欠格要件がどんなものか、大体分かってもらえましたかね?

今回は、建設業法で罰金刑にならないために虚偽申請になるのはどんな事か説明させてもらいます。

 

経営業務管理責任者(経管)の経営経験をウソついた

経管の経営経験が足りない足りないって、ホントよく聞きます。

大きな工事の依頼が入りそうだけど、経管の要件が足りない。

『もういっそのことウソついて許可取ってまえ!』ってやっちゃうと、勿論虚偽申請になります。

 

専任技術者(専技)の実務経験が出なくてウソついた

『実務経験10年で専技になるための工事の請求書を、数十年分探してくるの厳しすぎる。』

『おまけにアレはダメこれもダメって、せっかく探した請求書全然アカンやん…』

 

はい、本当にごめんなさい。

とても厳しいと思いますが、指定学科を卒業されていて実務経験期間が短縮されないかや、お持ちの資格が該当しないか一緒に調べてみましょう。

ウソつくと経歴とか色々おかしくなるし、綺麗にちゃんと胸を張って許可取りましょうね。

 

経営業務管理責任者の略歴書や許可申請者の調書への書き忘れ

経管の略歴書や、許可申請者の調書には『賞罰』について記載する欄があります。

こちらは行政罰だけでなく、刑罰についても記載する必要があります。

 

「駐禁やスピード違反の罰金刑って書く必要あるの?」ってよく聞かれるんですが、勿論記載する必要があります。

これ、適当に『賞罰なし』ってしちゃうと、必要な事項を書かなかったということから欠格要件に該当します。

いっぱいありすぎて分からない場合は、最低でも直近分は記載してください。

 

欠格要件に該当しないことの誓約書

以前は、『欠格要件に該当していません。該当したら直ぐに届出ます。』と誓約書に会社代表者印を押印して提出していましたが、令和3年1月4日から誓約書などの法定様式への押印が廃止されました。

押印が廃止されたからと言って、誓約書が必要ないというのではありません。

 

欠格要件に該当していないと言って誓約書を出して更新申請しておきながら、許可行政庁(大阪府知事や国土交通大臣など)が警察へ前科照会をしたら、役員が欠格要件に該当してる場合、こちらも勿論虚偽申請になるので注意してください。

 

経営事項審査(経審)でP点を上げたくてウソを書いちゃった

「経審で良い点数が欲しいから、完成工事高を水増ししちゃったよ。」

はい、勿論これもアウトです。

この場合、申請者は6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。

 

水増しだけじゃなくて、その他の審査項目(社会性等)には、審査基準日直前1年間での営業停止処分や指示処分についての有無を書く欄があります。

こちらも正しく記載しなければ、勿論虚偽申請になってしまいます。

 

要は、ウソを書いて良くみせたり、都合の悪いことを書かずに隠したりすると虚偽申請になります。

「うっかり忘れていただけで、虚偽のつもりなんて無かったのに!」と思っても、やはり都合の悪い事を書かなければ虚偽申請になります。

 

4.建設業法の欠格要件 終わりに

建設業法の欠格要件って条文を見ても引用や準用が多くて、なかなか理解するのが難しいんですが、今回はそんな欠格要件をじっくりと掘り下げてみました。

誰が欠格要件の対象者なのか、どんなことをすると建設業許可がヤバいのか。

一人の欠格要件該当からの伝染する欠格要件の怖さ。

こういう怖さを、少しでも分かっていただければ幸いです。

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

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