建設業許可の営業所ってどんなの!?レンタルオフィスで許可は取れるの?

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建設業許可を新たに取得したり、現在の建設業許可を維持するためには、建設業許可要件を満たす必要があります。

 

建設業許可要件には…

  1. 経営業務管理責任者(経管)
  2. 専任技術者(専技)
  3. 財産的基礎等
  4. 欠格要件と誠実性
  5. 営業所の要件等
  6. 適切な社会保険への加入

以上の6つの要件があり、今回は5つ目の『営業所要件』について詳しくご説明させていただこうと思います。

  • 自宅兼事務所だったけど、事務所を新しく借りて建設業許可を取りたい。
  • 本店は大阪府の〇〇市にあるけど、入札で準市内業者になるために〇×市に営業所を設けたい。
  • 手狭になってきたので、事務所を移転したい。

このような事で建設業の営業所となる物件を選ぶ際に、参考にしていただければ幸いです。

 

1.建設業の営業所ってどんなの?

〇建設業許可上の営業所

建設業の営業所というのは『常時建設工事に係る請負契約等を締結するなど、請負契約の見積り、入札、契約締結等請負契約の締結に係る実体的な行為を行う事務所』のことを言います。

とてもややこしい言い方ですが、簡単に言うと『建設業の見積もりや契約を行う事務所が、建設業許可上の営業所ですよ』という事ですね。

という事は、工事の見積もり、請負契約の締結や入札のための契約をしない営業所は、『建設業の営業所』とは言わないという事になります。

例を挙げると…

  • 登記上の本店あっても建設業の営業をしていない事務所
  • 資材置き場
  • 現場事務所
  • 宅建業など兼業事業のためだけの事務所

このような事務所は建設業許可上の営業所とはならないので、次の要件を満たす必要はありません。

 

2.営業所の要件は?

建設業許可上の営業所となるためには、営業所の要件というものがあり、この営業所要件は建設業を営むのであれば、本店(主たる営業所)や営業所(従たる営業所)の区別なく満たす必要があります。

大阪府知事許可を受けようと思う場合は、次の6つの営業所要件をすべて満たす必要があります。

① 事務所など建設業の営業を行うべき場所を常時使用する権限を有していること
② 建物の外観又は入口等において、申請者の商号又は名称が確認できること
③ 固定電話、事務機器、机等什器備品を備えていること
④ 許可を受けた建設業者にあっては、営業所ごとに建設業の許可票を掲げていること
⑤ 支店等の代表者が常勤しており、かつ契約締結等に関する権限を申請者から委任されていること
⑥ 専任技術者が営業所に常勤して専らその職務に従事していること

 

〇営業所要件の注意点を解説

それでは順番に営業所要件について、一緒に見ていきましょう。

①使用権原について

常時使用する権限を有するというのは、自己所有(法人や役員個人)、賃貸借契約や使用貸借契約などで、建設業の営業所として常時使用することが出来る権利が必要ということです。

以前は、賃貸借契約書のコピーや建物の履歴事項全部証明書を添付していましたが、現在はその必要が無くなり、営業所の写真の台紙に使用権原についての確認にチェックを入れるだけになりました。

 

②建物の外観や入口に看板や表札がある

建物の外観やポストなどに、建設業者の営業所であることが分かるように看板や表札を設置する必要があります。

自宅兼事務所であっても商号などを併記して、建設業者であることが分かるようにしましょう。

 

③事務机、固定電話、プリンター、パソコンなどの事務用品がある

営業所には見積書などを作成するため、事務作業ができる設備が整っている必要があります。

特に固定電話が必須であり、携帯電話で代用することは出来ません。

また、同一の建物に同族会社などが入っていたり自宅兼事務所である場合は、電話番号がそれぞれ別である必要があります。

 

④許可業者である場合は、建設業許可票を掲示する

建設業許可を受けた後は、営業所ごとに建設業許可票を掲示する必要があります。

建設業許可票というのは、金看板と呼ばれる許可年月日や許可業種が書かれている物で、本当に金看板である必要は無く、紙で作成された物でも大丈夫ですので、建設業を営む営業所ごとに掲示するようにしてください。

また、許可業種を追加したり、逆に一部廃業、更新により建設業許可日が変わったり、商号や代表者が変わったときは、その都度正しい内容に変更した許可票を掲示するようにしてください。

⑤営業所には常勤の代表者を配置する

本店には経営業務管理責任者を、本店以外の営業所には支店長などの契約の権限を会社から委任されている人物を常勤で配置する必要があります。

支店長(令3使用人)が契約の権限を委任されていることが分かるように、委任状を準備するようにししましょう。

経営業務管理責任者や支店長は、常勤である必要があるため、勤務する営業所から遠方すぎる場所に住んでいる場合などは常勤性が疑われることになります。

 

⑥専任技術者が営業所ごとに常勤していること

建設業の営業所には、それぞれ専任技術者が常勤で勤務している必要があります。

専任技術者は請負契約の締結を技術面からサポートすることがメイン業務となるため、基本的には工事現場に出ることはありません。

こちらの専任技術者も営業所に常勤する必要があるため、遠方すぎる場合は常勤性が否定される可能性があるため注意が必要です。

 

⑦その他の注意事項

1.転送不要郵便

建設業許可が下りると、許可行政庁(大阪府知事、奈良県知事、国土交通大臣など)から『建設業許可通知書』というものが本店に郵送されます。

こちらの書類は転送不要郵便であるため、営業所から別の住所へ郵便物の転送をかけている場合、許可通知書は許可行政庁へ戻ってしまいます。

許可通知書は、本当にその場所に建設業の営業所が存在しているのか『所在確認を兼ねている』ため、書類を転送することが出来ません。

もしも許可行政庁へ返戻されてしまった場合、職員が営業所の実態調査を行い、営業所の実態を確認できてから再送となります。

こういう事の無いように、転送の手続きをしているときは、転送取消しの手続きをお忘れないようご注意ください。

 

2.営業所の独立性確保

営業所の要件として明記はされていませんが、営業所は独立性が確保されている事が要件となっています。

同族会社などが同一建物で営業していたり、自宅兼事務所である場合は、建設業の営業所として独立性が確保されているかどうかをしっかりと確認する必要があります。

次のような場合は、独立性があるとは言い難いため、営業所として認められないと考えた方が良いでしょう。

① ワンフロアで仕切りも無く、他の会社と共同で事務所を使用している
② 自宅兼事務所で、居住スペースを通ってしか営業所へ行けない
③ 居住スペースと営業所が同一の部屋で区切りが無い

 

3.レンタルオフィスで建設業許可を取得出来るのか?

レンタルオフィスで建設業許可を取得したいとお客さんからご相談を受けて、大阪府庁へ問い合わせをしたことがあるんですが、結論から言うとレンタルオフィスでの許可申請はかなり厳しいです。

  • 不特定多数の人が出入りするため、独立性が確保出来ない。
  • 自社専用の電話回線を確保出来るのか。
  • オープンスペースなど、間仕切りが無い場所では個人情報を安全に扱えない。

 

こういう理由でレンタルオフィスでの許可申請は非常にハードルが高いものとなっています。

逆に言えば、これらの問題をクリア出来ればレンタルオフィスでも建設業の営業所として認めてもらう事は可能です。

 

  1. オープンスペースでは無く、完全に個室で鍵がかかる部屋であること。
  2. 自社専用の電話回線を引くことが出来ること。
  3. 個室内に個人情報などを保管すること。

この条件をクリア出来ればレンタルオフィスを営業所として認めてもらえる可能性は出てきますが、本当にそれが可能であるのか、普通の営業所の審査よりも厳しめでチェックされる覚悟が必要となります。

もしもレンタルオフィスでの許可申請を考えておられる場合は、契約する前に許可行政庁へ事前に相談する方が無難だと思います。

 

4.最後に…

今回は建設業許可要件の一つ『営業所要件』を詳しく解説してみました。

レンタルオフィスでの許可は原則ハードル高めで、なかなか難しい感じになってます。

 

他法人と共同の建物を事務所として使用する場合や、自宅兼事務所の場合も、カギとなるのは独立性と固定電話なので、そこに気を付けるようにしてください。

納得のいく良い物件が見つかり、皆さまの未来が明るいものとなりますように。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

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