- 会社を設立して20年、30年頑張って来たけど、そろそろ子供に会社を譲りたい。
- 元気なうちに今後の会社や従業員のことを考えて、代替わりをしたい。
- 自分は別の事業をしたいので、建設部門は子供に任せたい。
このようなご相談を受けることがありますが、建設業許可を維持するためには、何年か前から準備を行っておく必要があります。
今回は、事例を交えて、建設業を維持するためにどのようなことに注意すべきか、お話ししていきたいと思います。
➡ 5分で分かる!大阪府知事 一般建設業許可新規申請 ~法人編~
1.経営業務管理責任者の交代
建設業許可要件の一つに「経営業務管理責任者」というものがあります。
建設会社は扱う金額が大きいため、工事の途中で会社が破綻した場合、周囲に与える被害も甚大なことから、建設業を5年以上経営した経験のある方(準ずる地位は6年以上)が自社で常勤の取締役に就く必要があります。
社長が現在の経営業務管理責任者である場合、お子さんもこの要件を満たしていれば問題なく交代できますが、そうでなかったときはどうすれば良いのか検討してみましょう。
ケース① 息子さんが非常勤
・役員報酬は出ていない。
・別会社で役職付きではなく、社員として働いている。
このケースでは、息子さんは取締役に就任していますが、自社では非常勤となっており、他社で社会保険にかかっています。
ですので、自社での取締役経験は、建設会社を経営した経験としてカウントすることが出来ず、この時点では0年ということになります。
他社で、支店長や工事部長として勤務していた場合は、勤務先での経営経験を証明すれば経営業務管理責任者になることが出来ますが、今回は一般社員としての勤務になるので、こちらも該当しません。
今後の対応
- 息子さんには勤務先を退職してもらい、自社の常勤の取締役になってもらう
- 役員報酬月額は10万円以上支払ってもらう
- 自社で社会保険に加入してもらう
2.専任技術者の交代
建設業許可を維持するための人的要件として、専任技術者というのがあります。
許可業種ごとに資格者か実務経験者を常勤で配置する必要があり、社長が資格者で専任技術者をしている場合は、同じ資格をお持ちの方を専任技術者にしないと、取得している許可業種を維持することが出来なくなる可能性が出てきます。
社長が一級建築施工管理技士で息子さんが二級建築士だった場合は、現在取得している建設業許可を維持することが出来るか見てみましょう。
ケース② 社長と息子さんの保有資格が違う
・社長は一級建築施工管理技士で息子さんは二級建築士
一級建築施工管理技士 | 建・大・左・と・石・屋・タ・鋼・筋・板・ガ・塗・防・内・絶・具・(解) |
---|---|
二級建築士 | 建・大・屋・タ・内 |
それぞれの保有資格で取得できる建設業許可は上の表のとおりなので、社長から息子さんへ専任技術者の変更を行った場合は、取得できる許可業種が少なくなってしまいます。
会社への聞き取り
- 従業員で一級建築施工管理技士はいないのか? ➡ いる
- その従業員を専任技術者にすることは可能か? ➡ 可能
- 現在の許可業種はすべて維持する必要があるか? ➡ 建・塗・防は必要
今後の対応
- 一級建築施工管理技士の従業員に専任技術者になってもらう
- 息子さんが一級建築施工管理技士に合格した時点で、従業員から専任技術者を変更する
経審を受けている建設業者の場合、業種を維持することはとても大事です。
許可がないと、経審を受けることが出来ず、入札に参加することが出来ません。
経管(息子)と専技(従業員)が別々なのも、札入できる件数が減ってしまうのでかなり勿体ないですが、そこは早期に試験合格してもらうしかありません。
3.事業譲渡をお考えの方へ
上記のケースのように、そろそろ事業を子供へ譲りたいと思っても、すんなりと行かないことご多く、何年越しで準備をする必要があることが殆どです。
もしも、このような事をお考えでしたら、当事務所にご相談されませんか?
ご相談は、初回無料ですのでお気軽にお問い合わせください。