建設業許可を取る!~取る業種は建築一式工事業で本当に大丈夫!?~

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  • 建設業許可を取得して、社会的な信用度を上げたい。
  • 元請業者からの要請で、建設業許可が必要になる。
  • 下請け体質からの脱却のために、建設業許可を取って公共工事に参入していきたい。

様々な理由から建設業許可の取得を考えられる業者さんが多いですが、ご希望業種についてお伺いすると『建築一式工事業』と言われる業者さんが多いです。

1級建築施工管理技士や建築士などの資格をお持ちの技術者さんがいらっしゃる場合は、建築一式工事業を取得されえても全く問題ありません。

しかし、実務経験で建設業許可を取得される場合は、慎重に業種選びをする必要があります。

 

間違った業種を実務経験で取得した場合、リカバリーはとても困難になるので、そうならないために一緒に検討していきましょう。

 

1.建築一式工事業ってどんな工事なの?

 ①元請の立場でする工事

(参考)建設工事の内容、例示、区分の考え方一覧(平成29年11月10日から適用)

『建築一式工事』は、基本的に元請の立場で行う建設工事です。

建築一式工事とは『大規模、かつ施工内容が複雑な工事を総合的な企画・指導・判断・調整のもとに行うものである』と定められています。

簡単に言うと、『工事の規模などから見て一つの専門工事として施工することが難しい工事』は一式工事に該当します。

 

ですので、下請業者さんの場合は、合法的な一括下請けの場合を除いて、建築一式工事にあたる場合はほぼないと思ってもらって結構です。

 

②建築一式工事業の許可で他の専門工事は出来ません。

そして、『建築一式工事業の許可を持っていれば、建築系の工事はなんでも出来るわけではない。』ということが非常に大切です。

建築一式工事業を持っていても、それぞれの専門工事を単独で請負う場合は、その専門工事の許可が無ければ税込み500万円以上の工事を請負うことは出来ません。

例えば、建築一式工事業のみをお持ちの業者さんが、500万円以上の屋根改修工事を請負うためには、屋根工事業許可が無ければこの工事を適法に請負うことは出来ません。

 

【ポイント】
  • 建築一式工事業は元請の立場で総合的に企画・調整・指導・判断する工事
  • 建築一式工事業があればなんでも出来るわけじゃない

 

2.元請じゃない場合、どの業種を取れば良いの?

下請の立場で建設工事をされている場合は、一式工事ではなく27種類の専門工事の許可を取る必要があります。

家のリフォームなんかで工事に入られているのであれば、大体この業種が該当するのかなと思います。

建設工事の種類 工事内容
大工工事

木材の加工又は取付けにより工作物を築造し、又は工作物に木製設備を取付ける工事

  • 大工工事
  • 型枠工事
  • 造作工事
管工事

冷暖房、冷凍冷蔵、空気調和、給排水、衛生等のための設備を設置し、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事

  • 冷暖房設備工事
  • 冷凍冷蔵設備工事
  • 空気調和設備工事
  • 給排水・給湯設備工事
  • 厨房設備工事
  • 衛生設備工事
  • 浄化槽工事
  • 水洗便所設備工事
  • ガス管配管工事
  • ダクト工事
  • 管内更生工事
塗装工事

塗料、塗材等を工作物に吹付け、塗付け、又ははり付ける工事

  • 塗装工事
  • 溶射工事
  • ライニング工事
  • 布張り仕上工事
  • 鋼構造物塗装工事
  • 路面標示工事
防水工事

アスファルト、モルタル、シーリング材等によつて防水を行う工事

  • アスファルト防水工事
  • モルタル防水工事
  • シーリング工事
  • 塗膜防水工事
  • シート防水工事
  • 注入防水工事
内装仕上工事

木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事

  • インテリア工事
  • 天井仕上工事
  • 壁張り工事
  • 内装間仕切り工事
  • 床仕上工事
  • たたみ工事
  • ふすま工事
  • 家具工事
  • 防音工事
建具工事

工作物に木製又は金属製の建具等を取付ける工事

  • 金属製建具取付け工事
  • サッシ取付け工事
  • 金属製カーテンウォール取付け工事
  • シャッター取付け工事
  • 自動ドアー取付け工事
  • 木製建具取付け工事
  • ふすま工事

冒頭でお話ししたように、資格をお持ちで専任技術者になるなら、全く問題ないんですが、10年の実務経験で専任技術者になられる場合は、本当にその業種で良いか検討することが大事です。

許可を取ったけど元請さんから「この許可じゃ仕事まわせない。」や「取って欲しかったのは〇〇だったのに。」と言われる事がないように、許可申請の前に元請さんに「建設業許可を取る業種は〇〇で問題ないですか?」と一度確認を取るようにしてください。

 

【ポイント】
  • 実務経験で建設業許可を取る際には、元請業者に許可業種の確認をする。

 

3.実務経験で専任技術者になったけど、取るべき業種を間違えたらどうなるの?

①実務経験を一度認められたらリセット出来ない

実務経験で専任技術者になる場合は、一度その経験を許可行政庁が認めた場合、後で取るべき許可を間違えたとなっても変更や訂正をする事ができません。

例え、建設業許可を廃業して新規で許可を取り直したとしても、一度実務経験を認められた期間で別の業種の実務経験を認めてもらう事は不可能です。

別の業種の許可が必要な場合は、別の期間で10年間の実務経験がある事を証明する必要があります。

廃業して許可を取り直したら、実務経験もリセット出来るようなシステムだったら、取るべき業種を間違えても、お金と手間が余計にかかるなって程度の話で済むんですが、一度認めたものは覆らないという厳格なシステムのため、実務経験で専任技術者になる際は、最新の注意が必要です。

 

②違う業種の許可が必要な場合は、業種の変更は出来ず業種追加をする

取るべき許可業種を間違えていた場合は、業種の変更というのは出来ないので、業種追加という形を取る必要があります。

もしも、業種追加も実務経験でと考えた場合は、新規申請時にどの期間で実務経験を証明したのかを確認することが重要です。

新規申請時の許可申請書の副本が手元にあれば良いのですが、もし紛失している場合は許可行政庁へ行って申請書を閲覧する必要があります。

業種追加実務経験証明書は閲覧不可であるため、建築振興課に閲覧に行ったとしても内容を確認することが出来ません。

業種追加の際に、期間を重複しないように工事の契約書等を準備することが難しくなるため、建設業許可申請書の副本は大切に保管しておくようにしてください。

 

【ポイント】
  • 一度証明された実務経験期間は、他の業種に変更出来ない。
  • どの期間が何の業種で実務経験の証明されているかは、閲覧できないので、副本は紛失しない。

 

4.最後に…

今回は、『建築一式工事がどんな工事なのか』『建築一式工事で無かった場合はどの業種を取ったら良いのか』をご説明させてもらいました。

実務経験で許可を取る際には、本当に注意が必要です。

建設業者さんの認識と、建設業法で規定されている業種にズレがある場合があるし、「失敗したらやり直したらOK」という風にはいかないので、許可申請の前にしっかりと検討しましょう。

たまに、「自分で許可を取ったけど、取るべき許可が違った。」とご相談を受けるんですが、他の技術者さんが居たり、別の期間で実務経験を証明できれば良いんだけど、そうではない場合は、資格を取得してもらうか、人を雇ってもらうか、というような感じになってしまいます。

色々な思いで建設業許可を取得されるのですから、つまづく事なく進んでもらえたらと思います。

 

今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

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