経審受けてる会社だけじゃない!決算変更届はめちゃくちゃ大事!!

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毎事業年度が終わったら4か月以内に提出する必要がある決算変更届は、経審を受けている建設業者さんだけではなく、すべての建設業者さんにとって、とても大切な手続です。

決算変更届の中でも、特に工事経歴書と財務諸表は建設業法に則って慎重に作成する必要があります。

 

『建設業許可と言えば行政書士』『行政書士と言えば建設業許可』みたいに、行政書士であれば誰でも建設業に詳しいと世間的に思われているところがありますが、決してそうではありません。

『建設業許可に関する書類を作成したことがある』という程度で、建設業法や建設業簿記に関する知識が無いまま行政庁が一般の方向けに出している手引きだけを読んで書類を作っている人もいます。

 

 

1.決算変更届って何?

建設業許可を取得したら、毎事業年度終了後4か月以内に『決算変更届』というものを提出する必要があります。

この届出を怠ったら、建設業許可を更新したり、業種追加や経審を受けたりする事が出来ません。

経審を今は受けていないし、更新も先のことだからと放置しておいたら、許可行政庁から監督処分がくる事もあるのでちゃんと毎年提出するようにしましょう。

 

また、この決算変更届は誰でも閲覧することが出来るので、取引先などが会社の財務状況や最近の工事の内容を確認しようと閲覧に来て決算変更届が全く出てなかったとなると、きっと『この建設業者はいい加減な会社だな。リフォームをお願いしようと思っていたけど別の会社に頼んだ方が良いわ。』となってしまう可能性が高いです。

このように決算変更届は、行政からの監督処分だけではなく、対外的な信用にも関わってくる大事な手続きなんです。

本当に良心的な価格で工事をされ、工事現場の近隣の方たちへの配慮も自社負担で色々されているような素晴らしい建設業者さんであっても、「初めてのお客さんからご依頼いただく際は、信頼関係0からなので真面目な会社と分かってもらうのには気を遣うよ。建設業許可があれば、それだけで少し安心されるから建設業許可を取ろうと思ったんです。」とおっしゃっていました。

せっかく自社の信頼度を上げようと建設業許可を取ったのに、決算変更届の存在を知らずに未提出だったり、忙しくて出し忘れていたりしていたら本末転倒です。

こういう意味合いからも決算変更届の未提出は避けるようにしましょう。

 

〇提出する書類は?

提出する書類は次のとおりです。

  提出書類 備考
決算変更届の表紙  
変更届出書  
工事経歴書  
直前3年の各事業年度における工事施工金額  
使用人数 変更があった場合に提出
建設業法施行令第 3 条に規定する使用人の一覧表 本店とは別に営業所があり、営業所長が変わった場合に提出
定款の写し 変更があった場合に提出
財務諸表 税理士さんが作成してくれた決算書を、建設業簿記に組替える
完成工事原価報告書、株主資本等変動計算書、注記表、事業報告書 法人のみ提出
10 法人事業税納税証明書 法人のみ提出
11 個人事業税の納税証明書

個人事業主が提出

(8月までに提出の場合は所得税の確定申告書のうち税務署の受付印のある第一表の写し)

12 健康保険険等の加入状況 加入の有無に変更があれば提出
13 委任状 行政書士が提出する場合

決算変更届では、建設業者さんが一年間どんな工事を請負ったのか、経営状態はどうなのかを書類にして提出します。

 

2.決算変更届で特に大事な書類は?

〇工事経歴書

工事経歴書は決算変更届のどんな書類よりも一番大事な部分で、一番時間が係るし、神経をすり減らす部分なんです。

この工事経歴書が決まれば、決算変更届の8割終わったと言っても過言ではない程、気を使って作成します。

・工事経歴書の作成には決まったルールがあり、そのルールに則って作成出来ているか
・業種の間違いが無いか
・主任技術者や監理技術者が適切か
・その他すべての建設業法違反が無いか

経審を受ける際には、P点がどうなるのかも考えてこの工事経歴書を作成します。

そして、この工事経歴書で建設業法違反とならない書類を作成することが本当に大事。

 

〇財務諸表

この財務諸表は、税理士さんが作成された決算書を基に、行政書士が建設業簿記のルールに従って作成します。

『税理士さんの決算書とこの財務諸表は全く別物』という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

 

経審を受ける時は、この財務諸表を分析機関に出してY点というものが算出されます。

もちろん経審の点数が算出される仕組みを理解していなければ、良い財務諸表を作成出来ないし、経審の仕組みだけでなく、建設業簿記のルールも分かっていなければダメなんです。

良い財務諸表を作成するというのは、粉飾して勝手に数字を変えてしまうという事ではなく、決算前からお客さんに「経審で良い点数を狙うなら、減価償却して、借入金減らして、売掛金回収したりしといてくださいね。後は決算迎えたら質問事項まとめて早めに送るから、経費関係の事とかお手間やけど調べといてくださいね。」というような感じでお客さんと打ち合わせをする事です。

行政書士の中には、税理士さんが作成した決算書を右から左へ転記しているだけの人もいます。

しかし、これでは正しい書類を作成したとは言えません。

 

例えば、完成工事原価の中の材料費に着目して見ましょう。

税理士さんが作成される決算書では、材料費は材料費なんですが、建設業簿記のルールに則って作成した財務諸表では、材料費と営業外費用に分けられます。

完成工事原価が下がると売上総利益、営業利益、経常利益が大きくなり、点数がアップします。

しかし、これもちゃんとしたルールを知らずに適当にやってしまうと、ただの不正になってしまいます。

不正をせずにルールの範囲内で、正しい仕分けをして経審の点数アップを狙うのが行政書士へ依頼する価値だと思います。

 

3.最後に…

決算変更届に添付する工事経歴書や財務諸表は、ちゃんとしたものを作成することで経審の点数が上がるだけではなく、建設業法違反を疑われて調査が入ったり、最悪許可の取消しにならないようにすることが出来ます。

たま~に凄い内容の決算変更届にお目にかかる事があり、そういう時はお客さんが本当に気の毒になります。

行政書士に書類作成を依頼するのは、めんどくさいから手続きを丸投げするために依頼するというわけではないと思っています。

建設業法違反が無いように、行政書士の目でしっかりと確認して欲しい。

ちゃんとした内容の書類を作って欲しいと依頼して頂いていると、私は思っています。

経審を受けている建設業者さんでなくても、決算変更届はとっても大事です。

 

もしも提出し忘れている決算変更届があったら、早めに提出してくださいね。

 

それでは最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

 

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