建設業許可要件ってご存じですか?
『適切な社会保険への加入』という要件が、令和2年10月1日に追加されました。
ということは、許可要件を満たしていなければ許可が下りないということなので、新規申請だけではなく、更新や業種追加も出来ないという事なんです。
目次
1.適切な社会保険は何?
社会保険って何を指すの?
社会保険という言葉をよく耳にしますが、そもそも『社会保険』というのは何を指すのかご存じでしょうか?
社会保険には2つの解釈があり、社会保険制度を最も広義で解釈すると、
①医療保険 ②年金保険 ③介護保険 ④雇用保険 ⑤労災保険
この、5つの保険になります。
もう一つの狭義の社会保険というのは、
①医療保険 ②年金保険 ③雇用保険
この3保険のことを言うんですね。
因みに、建設業許可要件で言う『社会保険』というのは、狭義の社会保険のことを指しています。
どの社会保険に入るべき?
建設業許可でいう社会保険が、①医療保険、②年金保険、③雇用保険だということは分かりました。
さあ、次はどの種類の保険に加入していれば、『適切な保険に入っている』ことになり、建設業許可要件をクリア出来るのかということですね。
下の表を見ていただければ、どの保険に加入すべきかお分かりになっていただけると思います。
労働保険に関しては、一人親方や役員だけの法人だと、雇用保険は加入できないので『適用除外』という扱いになります。
勿論、誰か雇用された場合は雇用保険に加入する義務があるので、雇用保険の手続を忘れないようにしてくださいね。
(国土交通省HPより)
【ポイント】
・建設業許可でいう社会保険は、①医療保険 ②年金保険 ③雇用保険
2.法人なのに国民健康保険でも良いの?
医療保険って個人事業だと国民健康保険で、法人だと健康保険に加入するってのが一般的な認識だと思うんですが、ちょっと下の図を見てくれますか?
赤いペンで印をつけたところ!
法人の加入すべき医療保険の欄に『適用除外承認を受けた国民健康保険組合(建設国保等)』って書いてるんですよね。
法人なのに国民健康保険でいけるの!?って不思議に思うと思うんですが、ポイントは適用除外承認を受けたというところなんです。
適用除外承認を受けた国民健康保険組合(建設国保等)
これは、個人事業として建設業をされていた事業主さんが、その後法人成りをされた時に、年金事務所に以下の手続きをすることにより、建設国保などに引き続き加入することが出来る、という制度を利用されているということなんです。
① 法人を設立した日から5日以内に「厚生年金被保険者資格取得届」を提出すること。
② 法人を設立した日から14日以内に「健康保険被保険者適用除外承認申請書」を提出すること。
また、個人事業であっても従業員が5人以上であれば、国民健康保険ではなく健康保険への加入義務がありますが、その際もこの手続をすれば国民健康保険への加入を継続することが出来るようです。
そして、従業員を新しく雇用する度に、この手続をすることで、適切な社会保険へ加入しているとみなされます。
なので、経審の社会性で大きく減点されることもありません。
詳しくは、建設国保のHPをご覧いただければと思います。
【ポイント】
・個人事業からの法人成りだと、国民健康保険を継続できる
・法人成りの日から期限内に年金事務所への手続が必要
・個人事業で5人以上従業員がいる場合でも、手続をすれば継続可能
・従業員を雇用する度に手続が必要
3.社会保険未加入業者と下請契約をしていると処分の対象になります。
従業員を雇用すると社会保険の負担がキツイという声をよく聞きます。
実態としては雇用の形態ですが、社会保険逃れのために一人親方で下請として現場に出てもらっている。というのもよく聞くお話しです。
建設業界での社会保険の未加入問題って、何年も前から言われてて、国交省の資料にもこういうのがあります。
公共工事で社会保険未加入業者を下請として使うと、元請業者が指名停止処分を受け、数ヶ月間入札に参加できなくなってしまいます。
5次下請であっても、6次下請であっても、社会保険に未加入の業者が工事に関わることは許されません。
4.建設業許可申請の際に社会保険未加入がバレた場合どうなるの?
許可が下りない
例えば、従業員を雇っているのに雇用保険に加入する手続きをしていなかった場合はどうでしょう。
もちろん、許可要件が足りないということになるので、加入手続きが終わるまで申請書は受理されません。
これが更新だった場合は、許可切れになってしまう可能性も出てくるので、早めの手続をしておいてください。
許可行政庁が通報する
申請時などのタイミングで、許可行政庁(国土交通大臣や大阪府知事など)に社会保険の未加入がバレてしまったとします。
その場合、加入するように許可行政庁から指導がありますが、その指導に従わない場合は、担当部局に通報されます。
通報されたらどんなお仕置きが待ってるの?ってのが気になるところですよね。
バレた時から保険料を払うんじゃなく、遡って保険料を払わないといけないようです。
もちろん罰則も適用されます。
保険料も遡って払わないとダメやし、おまけに罰則まであるなら、社会保険にちゃんと入っていた方が安心安全ですね。
今回は、新しく追加された許可要件である『社会保険』についてお話させてもらいました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。