- 『せっかく高いお金を払って経審を受けたけど、正直見方が分からないからほったらかしにしてる。』
- 『点数がずら~っと並んでて、その数字が良いのか悪いのかも分からない。』
- 『P点が何点なのかしか興味がないから、他の点数はどうでもいい。』
なんて建設業者さんは案外多いんじゃないでしょうか?
点数の『下限値・上限値』『点数の意味』が分かれば、会社の現状を正しく把握する指標にもなりますし、どうすれば経審の評点をアップさせることが出来るのかも見えてきます。
また、経審の見方が分かれば『入札参加資格の為だけに受けていた、手間とお金のかかるだけの手続』ではなく、『今後どのように会社を運営していくかを決めるための材料の一つ』になることでしょう。
それでは、今から経審の評点アップ対策と経審の見方についてご説明させていただこうと思います。
もしも経審を受審されたことがあって、お手元に経審の結果通知書があるならば、ご準備いただけたら分かりやすいかと思います。
ちょっと長くなると思いますが、どうぞお付き合いください。
目次
1.P点P点ていうけども、P点って何?
皆さんがP点P点と呼ぶこの数字の正式名称は『総合評点値』と言います。
このP点次第で入札参加資格の格付けが変わったり、格付けが無い業種であっても『P点が〇点以上の会社が入札に参加できる』というように足切りに使われるので、どの建設業者さんもとても気にされる点数ですよね?
今お手元の経審で、P点をチェックされてると思うんですが、業種ごとに点数が違うということにも注意してみてください。
注意してみてねと今言ったことは、また後程お話させてもらいます。
今は業種で点数違うなということだけ覚えててもらえばOKです。
さて、このP点はどのように算出されるのかというと…
総合評定値P点=0.25(X1)+0.15(X2)+0.20(Y)+0.25(Z)+0.15(W)
- X1=完成工事高
- X2=自己資本額及び平均利益額
- Y=経営状況
- Z=技術職員数及び元請完成工事高
- W=その他審査項目(社会性等)
この5項目の点数からP点が算出され、上限値は2,143点で下限値は-18点となります。
X1とかYとかまた意味の分からんことを言い出したなと思うかもですが、順番に説明させてもらいますので今のところはスルーしちゃってください。
かなり簡単にザックリ言ってしまうと、P点というのは会社の完成工事高・施工能力・資金力・社会的に良い会社かどうかを点数にして、その点数の15~25%ずつを足した合計点数です。
会社の色々な状況を総合的に評価した点数=総合評点値=P点というわけです。
会社の状況を評価した点数の合計からP点が算出されるということは、会社のどの部分が弱いのかを知り、弱点を改善し、強みを伸ばしていくことがP点アップにつながるということです。
P点を構成する5項目ってとても大切なんですが、どうしても無視されがちなんですよね。
なので今回は、しっかり目に5項目を説明&どうすれば評点アップするのかをお話しさせていただきます。
【P点(総合評点値)のポイント】
- 上限値は2,143点
- 下限値は-18点
- P点は、建設業者を総合的に評価した点数
2.X1(完成工事高)って何?
建設業以外の会社を評価する時って「あの会社って売上〇億円らしいよ。」なんて言うじゃないですか?
建設業者さんの場合は勿論『工事の売上高』で会社の規模を計りますよね?
このX1っていうのは、会社のそれぞれの工事業種の『工事の売上高=完成工事高』を評価する項目です。
勿論業種によって完成工事高は変わってきます。
ちなみに上限値は2,309点で下限値は397点です。
お手元の経審を見てもらっても工事業種によって点数が違ってますよね?
この項目は平成20年まではP点の35%を占めていたんですが、現在は25%になっています。
10%下がったからといっても、とても大事な項目であることに変わりはありません。
この項目は直前の2年又は3年の完成工事高を平均することで算出されます。
「なんでわざわざ平均するの?」って不思議に思われるかもしれませんね。
答えは、皆さんがご存じのとおり建設業者さんの売上は年度によって波があるので、
『建設業者の規模は、単年度ではなく数年で平均した方が正確に会社の規模を把握できるんじゃない?』
との理由から2年または3年平均で算出することになっています。
入札のメインとなる業種が有利となるように、2年平均か3年平均かを選んで受けるんですが、ここで2年平均を選択すると自動的に後述する『元請完成工事高』も2年平均になります。
その他、元請完成工事高との兼ね合いも考慮しながら、何年平均にすべきかを選ぶことになります。
このX1の完成工事高の評点をアップさせるためには、言うまでもなく『工事の受注量を増やす』ことが大事になってきます。
とは言っても、完成工事高をアップさせるために「赤字工事でも何でも来い!」とばかりに利益率を無視して受注するのは得策ではありません。
私たち行政書士業界でも採算度外視でびっくりする金額で受任されている方もいますが、働けど働けど我が暮らしなんとうやらで、負のスパイラルに突入しちゃって廃業まっしぐらになってしまうなんて事もあります。
経審を受審するのは、公共工事を落札して会社の経営を更に安定させたり売上の増大が目的のはずです。
経審の点数アップのために割の合わない工事を請けるのは本末転倒ですので、どうすれば利益率の良い仕事を増大させることに繋がるかを社内で検討されることが大事だと思います。
誰でも出来る工事では安く値切られてしまいますが、この工法は〇〇会社さんが一番だ!となれば不当な値切りにあうことも無いでしょう。
そういうように、自社の強みを伸ばし利益率の高い工事を多く受注して、完成工事高を増やしてもらえればと思います。
【X1(完成工事高)のポイント】
- 上限値は2,309点
- 下限値は397点
- P点に反映されるのは25%
- 工事業種によって点数が変わる
- 評点アップ対策は工事の受注量を増やす
- 採算度外視で受注量を増やすのはダメ
3.X2(自己資本額及び平均利益額)って?
次は『自己資本額及び平均利益額』の説明に入りたいと思います。
お手元の経審の右上の辺りにX2って書いてるの分かりますかね?
上限値は2,280点で下限値は454点です。
この項目の15%がP点に反映されます。
『15%か~低いな』って思いました?
割合としては15%ですが、この項目はX1と違って全業種共通の点数なんですよ。
なのでこの点数が上がれば全業種の底上げにつながるので、15%と軽く考えてはダメなんです。
それにこの項目は平成20年の改正で10%から15%に引き上げられてるんです。
先ほどこの点数が上がれば全業種の底上げにつながると言いましたが、逆にここの点数が悪ければ、全業種の足を引っ張ってしまうということなので、全業種共通項目はしっかりと対策してもらった方が良いかなと思います。
この項目は、自己資本額及び平均利益額というぐらいですから、自己資本額を評価した点数と平均利益額を評価した点数から算出されます。
① 自己資本額
貸借対照表の純資産合計に記載されている金額が評価されます。
単純に自己資本額が大きいほど評点が高くなります。
審査基準日(直近決算日)単独か、直前2年平均かを選ぶことができ、これも会社に有利な方を選ぶことができます。
自己資本というのは、資本金と繰越利益剰余金を合計したものなんですが、繰越利益剰余金は毎年利益を出せば増え、赤字決算を繰り返しているとマイナスになっていきます。
ここの点数は、ちょっと対策をしたら上がるというものではなく、毎年利益を積み増していくことで点数がアップする項目です。
もの凄く簡単に言うと『会社設立から現在まで、どれだけ利益を出して蓄えてきているのか』をチェックされる項目です。
先ほどお話させてもらったように、全業種に反映される項目なので、出来るだけ毎年利益計上を行って、利益を蓄えることが評点アップ対策となります。
② 平均利益額
平均利益額とは、営業利益に減価償却費を足し戻した額から算出され、平均というだけあって常に直前2年平均が評価の対象となります。
直前2年間、本業でどれだけ利益を出したのかを評価されることと、建設機械などの設備投資を行って減価償却を行ったのかを評価される項目です。
平均利益額 = 営業利益 + 減価償却費 の2年平均
営業利益は分かるけど、なんで減価償却費を足すのかな?って思いませんか?
減価償却費というのは、実際はお金が出て行くことの無い費用ですよね。
なので、それを営業利益に足し戻した金額が会社の営業利益であると評価されるわけなんです。
また、建設機械をたくさん保有している会社は、施工能力が高いということでここも評価されるポイントになります。
減価償却をしてもらった方が有利な項目ではあるんですが、減価償却をしまくって赤字決算にしてしまうのはおススメしません。
X2(自己資本額及び平均利益額)は『どれだけ利益を蓄えているか』と『直前2年間でどれだけ利益を生み出したのか』を評価する項目です。
自己資本っていうのは返済する必要がないお金です。
これがたくさんあるということは、それだけ会社が安定しているということですよね?
公共工事の財源は皆さんご存じのとおり税金です。
公共工事の途中に発注した会社が倒産すると、とてもマズいことになります。
なので自己資本が多い会社が高得点に繋がるような仕組みになっているんです。
この項目の評点アップ対策はズバリ、毎年確実に利益計上して自己資本を増やしていくこと!
自己資本=資本金+繰越利益剰余金なので、増資をするのも手です。
あとは建設機械などの設備投資を行って、赤字にならない範囲で減価償却を行うようにしてください。
【X2(自己資本額及び平均利益額)のポイント】
- 上限値は2,280点
- 下限値は454点
- P点に反映されるのは15%
- 全業種共通項目なので注意!
- 毎年利益を計上して自己資本を増やす
- 増資をする
- 赤字にならない程度に減価償却する
4.Y(経営状況)って何?
経営状況は建設業者の経営状態を『登録経営状況分析機関』が決算書から点数を出してくれるもので、分析とかY点と呼ばれています。
P点に占める割合は20%と高く、こちらも全業種共通の点数となるのでとても大事な項目です。
上限値は1,595点で下限値は0点です。
Yは4つの属性8つの指標で計算されます。
お手元の経審で見てもらったら分かると思うんですが、数字がたくさん書いていて、今までの項目より更に意味不明で触りたくない空気が漂ってきますが、ここもの凄く大事なんですよ。
4つの属性8つの指標はこんな感じです。
属 性 | 経営伊状況分析の指標 | 上限値 | 下限値 |
---|---|---|---|
負債抵抗力 | 純支払利息比率 | -0.3% | 5.1% |
負債回転期間 | 0.9か月 | 18.0か月 | |
収益性・効率性 | 総資本売上総利益率 | 63.6% | 6.5% |
売上高経常利益率 | 5.1% | -8.5% | |
財務健全性 | 自己資本対固定資産比率 | 350.0% | -76.5% |
自己資本比率 | 68.5% | -68.6% | |
絶対的力量 | 営業キャッシュ・フロー | 15.0億円 | -10.0億円 |
利益剰余金 | 100.0億円 | -3.0億円 |
先ずは4つの属性の説明からしていきますね。
① 負債抵抗力
借入金やそれに伴う支払利息が多すぎないかどうかをチェックされる項目です。
借入金や支払利息が少なければ勿論良いんですが、建設業は着工時に多額の資金が必要になるため運転資金はやはり必要となります。
ですが、営業利益を上回る額の支払利息で経営を圧迫していた場合、健全な経営をしているとは言えません。
会社の負債に対する抵抗力(強さ)を評価する項目になります。
② 収益性・効率性
会社が利益率の高い工事をしているかをチェックされる項目です。
売上総利益が総資産に対してどれくらい得られているのか、売上高からどれくらい利益を計上できているかを評価されます。
分かりやすく言うと…
- 会社の資産を全部使って、建設業と兼業を合わせてどれだけ売上を上げれたのか。
- 建設業と兼業を合わせた会社全部の売上から、経費諸々を引いてどれだけ利益を出せているのか。
この2点が評価されます。
もちろん売上が高い方が良く、利益を多く計上出来ている方が評価は上がります。
利益が残るということは、質の良い工事を多くしていると評価されるからです。
③ 財務健全性
- 自己資本の範囲内で固定資産を取得しているか
- 総資本に占める自己資本の割合はどれくらいか
この点をチェックされる項目です。
自己資本というのは、返済する必要がない会社のお金なので、その割合が高ければ会社の財務状況は健全だということになります。
X2でもお話させてもらったように、毎年利益を蓄えていく事が大切になってきます。
④ 絶対的力量
- 会社が1年間活動したことにより現金をどれだけ創出したかということ
- それをどれだけ蓄積したか
この点を評価する項目です。
これまでは%で評価されてきましたが、ここは比率ではなく1億円に対する絶対額を判断します。
当たり前みたいに絶対額って言うけど絶対額って何よ?ってことですが…
絶対額っていうのは簡単に言うと『実際の金額』ていうことです。
例えば、絶対的力量の中の『利益剰余金』という指標があります。
お手元の経審を見てもらえますか?
一番下の表内の左側に『利益剰余金』という科目があり、その隣に数字が書いてあります。
利益剰余金というのは、創業以来蓄積してきた内部留保金のことです。
次に同じ表を右のほうに目をやってください。
評点(Y)と書いている上に、また『利益剰余金』と書いていますね。
その隣の数字は左側の利益剰余金より小さい数字になっていませんか?
この数字を出すための計算式は
利益剰余金(経営状況分析の指標) = 利益剰余金(決算書)÷1億円
例えば、直近の決算で利益剰余金が500万円だったとしましょう。
この場合は5,000,000÷100,000,000=0.05という数字になるわけです。
ちなみに小数点3位未満の端数は四捨五入します。
説明が長くなってしまいましたが、実際の会社の金額で判断しましょうというのが絶対的力量という項目です。
次にYを構成する8つの指標についての簡単な説明と、評点アップ対策を表にまとめてみました。
これは説明しだすと果てしなく長くなってしまうので、経営状況(Y)については別の機会に詳しくお話させてもらおうと思います。
指票 | 属性 | 上限値 | 下限値 |
---|---|---|---|
純支払利息率 | 負債 抵抗力 |
-0.3% | 5.1% |
売上高に対して実質的な支払利息がどの程度あるかを表し、この数値が小さいほど良好な状態であり評点がアップします。 ・借入金を返済し、支払利息を減らしていく事が重要です。 |
|||
負債回転期間 | 0.9か月 | 18.0か月 | |
負債が多すぎて経営活動を圧迫していないかどうかを見るためのものです。 負債合計額が平均月商の何カ月分になっているかを見て、資金繰りの健全性を判断します。 月商倍率が低いと資金繰りが健全で、これが高いと不健全であることになります。
2か月が好ましく、3か月分以内になるようにしましょう。
・定期預金や積立がある場合は、それを解約して流動負債から返済しましょう。 |
|||
総資本売上総利益率 | 収益性・ 効率性 |
63.6% | 6.5% |
売上総利益(売上高-売上原価)が2期平均の総資本額(貸借対照表の負債純資産合計額)に対して、いくら得られているのかを見ます。
この指標が高いほど収益性が良く、低いと悪いということです。
・総資本を減少させる ・売上総利益を増加させる |
|||
売上高経常利益率 | 5.1% | -8.5% | |
企業の収益性を表します。
・質の良い売上高を多くする。 |
|||
自己資本対固定資産比率 | 財務 健全性 |
350.0% | -76.5% |
企業の財政状態の健全性を表します。
・増資をする |
|||
自己資本比率 | 68.5% | -68.6% | |
企業の財政状態の健全性を表します。
・自己資本を増やす(増資・赤字決算を避ける) |
|||
営業キャッシュフロー | 絶対的 力量 |
15.0億円 | -10.0億円 |
企業の資金収支が健全か判断します。
・経常利益 ➡ 多い方が良い |
|||
利益剰余金 | 100.0億円 | -3.0億円 | |
創業以来蓄積してきた内部留保金のこと。利益剰余金が多いほど評点が高くなる。
・毎年欠かさず利益を計上し、利益を蓄積する。 |
【Y(経営状況分析)のポイント】
- 上限値は1,595点
- 下限値は0点
- P点に反映されるのは20%
- 全業種共通項目のため注意!
- 経営状況分析機関が点数を出す
5.Z(技術職員数及び元請完成工事高)って何なの?
Zは『技術職員数』と『元請完成工事高』を評価する項目です。
こちらは業種ごとに点数が変わってきて、P点に占める割合は25%と高くなっています。
上限値は2,441点で下限値は456点です。
『技術職員数』について
- 審査基準日(直近の決算日)時点で6ヶ月と1日以上雇用する技術者が何人いるのか
- その技術者はどんな資格を持っているのか
で点数が変わってきます。
もちろん上位の資格を持っている技術者や監理技術者講習を修了している技術者は、実務経験者より高く加点される仕組みになっていて、同一の技術者が加点できる業種は2業種までとなっています。
それでは青い枠で囲っている部分を見てもらえますか?
ここには、審査基準日時点で6ヶ月と1日以上会社に在籍している技術者の人数が記載されています。
技術者の持っている資格によって加点される点数は下の表のとおりです。
資格の種類 |
点数(1人) |
---|---|
1級資格者で監理技術者講習修了証 |
6点 |
1級資格者 |
5点 |
1級資格者以外の基幹技能講習終了者 |
3点 |
2級資格者 |
2点 |
その他技術者(10年以上の実務経験者) |
1点 |
評点アップ対策としては、技術者を多く雇用すること。
実務経験者は資格を取得し、資格者は更に上位の資格の取得を目指したり監理技術者講習を修了するなど、会社が資格取得を支援する仕組みづくりが大切になってきます。
『元請完成工事高』について
次は黄色の枠で囲っている部分を見てもらえますか?
『元請完成工事高』は、直近2年または3年平均でどれだけ元請工事を請負ったのかで評価される項目です。
完成工事高評点(X1)で2年平均か3年平均かを選んだ平均年数が、自動的に選択される仕組みになっています。
なぜ元請工事が評価されるのかというと、公共工事を受注したら自社が元請になるわけです。
下請の立場とは違い、元請けとしてのマネジメント能力が必要になるので『あなたの会社はどれだけマネジメント能力があるのですか?』ということをチェックされるわけですね。
この評点アップ対策は言うまでもなく元請工事を増やしていくことです。
小さな工事で構わないので、元請工事を少しづつでも増やしていくことが大切だと思います。
【Z(技術職員数及び元請完成工事高)のポイント】
- 上限値は2,441点
- 下限値は456点
- P点に反映されるのは25%
- 技術者を増やす
- 上位資格を取得していく体制&雰囲気作り
- 技術者一人が加点出来るのは2業種まで
- 元請工事を増やす
6.W=その他審査項目(社会性等)って何よ?
ついに来ました、最後の項目『社会性等』です!
この項目は、会社が社会的な責任を果たしているかどうかをチェックする項目になります。
P点に占める割合は15%ですが、P点を上げたいのであれば一番に取り組むべき項目です。
上限値は1,966点で下限値は-1,995点です。
この項目は、加点がP点に与える影響が大きいのが特徴であるのと、下限値がとんでもないのも特徴の一つです。
お手元の経審右側を見ていただけますか?
まずは労働福祉の状況については、適切な社会保険(雇用保険、健康保険、厚生年金保険)に加入していれば問題なし。
この3保険に加入していれば加点されるのではなく、未加入であれば-40点ずつ減点されるという恐ろしい事になります。
雇用保険については、役員のみの会社・従業員がいない一人親方は適用除外になります。
この場合は雇用保険に入っていないではなく、入れないので適用除外。
もちろん減点にはならないのでご安心ください。
(国土交通省HPより)
入るべき3保険すべてに未加入であれば-40点×3=-120点ということになります。
他の項目で一生懸命対策をしても、ここで大きく減点されたら元も子もなくなってしまいます。
この社会性等の項目で加点することは当然大事ですが、減点にならないようにすることも重要になってきます。
令和2年10月1日の建設業法改正で、適切な社会保険に加入していることが許可要件に追加されました。
適切な社会保険に未加入である業者は建設業許可申請をしても受理されず、現在許可業者であっても適切な社会保険に未加入であれば更新申請を受付てもらえなくなりました。
このことから、いずれは適切な社会保険に未加入の建設業者がいなくなるので、この項目もきっと変化するんでしょうね。
先ほどお話した『会社が社会的な責任を果たしているかどうかをチェックする』というのは、こういう事なんです。
お金は掛かりますが、社会保険への加入や法定外労災・退職一時金制度などを整備して、働きやすい環境を整えることが、良い人材の確保に繋がり工事の受注量アップ・財政状態の安定に繋がり、長い目で見るとP点アップに自然と繋がるのではないでしょうか。
【W=その他審査項目(社会性等)のポイント】
- 上限値は1,966点
- 下限値は-1,995点
- P点に反映されるのは15%
- 全業種共通項目なので注意!
- 経審の点数アップはこの項目から始める
7.P点って結局何なの?
各項目の説明の際に「これは業種別の点数です。」とか「これは全業種共通の点数です。」とか言ってたの覚えてますか?
冒頭で『業種ごとに点数が違うってことだけ覚えといてください』なんてことも言ってましたね。
P点は全業種共通の加点になる、X2・Y・Wと、それぞれの業種によって加点が異なるX1・Zとの2重構造からなっているんです。
イメージとしてはX2・Y・Wの土台の上にX1・Zが乗っかっているような感じ。この土台をしっかりとさせることで、経審を受ける全業種の点数が上がってきます。
X2は毎年利益を計上して自己資本を増やすこと。
Yは借入金を減らし支払利息が経営を圧迫しないようにしたり、売掛金を積極的に回収、減価償却実施など。
Wは働きやすい職場環境を整えることで点数が上がります。
私が今までお話してきた評点アップ対策はすべて、会社にとってお金がかかる内容だと思います。
無理をせず、出来る範囲で少しづず実行されればよろしいかと思います。
まずは社長さん自らが資格取得を目指されるというのはどうでしょう?
社長自らが率先して上位資格を目指すことで、社内の雰囲気を変えて行きましょう。
そしてせっかく受審した経審を棚の奥にしまっておくだけでは勿体ないので、会社の現状把握にどうぞお役立てください。
数年分の経審がもしもお手元にあるのでしたら、良くなった点悪くなった点を見比べてみるのも面白いんじゃないでしょうか。