- 『最近資格を取って、建設業の許可業種を増やせるようになった。』
- 『元請に新たに別の業種の許可を取るように言われた。』
- 『今取得している許可だけでは、対応できなくなってきた。』
このような時には、現在お持ちの建設業の許可業種に、新たな業種を加えることが必要となります。
今現在お持ちの許可が一般建設業(特定建設業)のみである場合、新たに他の一般建設業(特定建設業)の業種を追加して取得する場合は『業種追加』という手続きが必要になります。
もしも業種追加でお困りであれば、一度ご連絡ください。
ご相談者様が現在業種追加が出来るのか、出来ない場合は今後どのようにすれば業種追加できるのかお話させていただきます。
目次
1.建設業許可の業種追加ってなに?
業種追加というのは、すでに建設業許可を取得している業種の他に、新たな業種を追加したい場合にする手続のことです。
専任技術者さんが新しく資格を取った時や、現在の許可業種以外の工事の資格を持っている技術者さん(実務経験者)を雇われたりした場合に、業種追加を検討されることが多いんじゃないでしょうか?
業種追加をして建設業許可を取得すると、税込みで500万円以上の工事を請負う事が出来るようになります。
今お持ちの許可が一般建設業(特定建設業)のみで、新たに別の特定建設業(一般建設業)の業種を追加して取得する場合は『般・特新規』という手続きが必要になります。
ちょっと分かりづらいですかね?
例えば…
一般建設業許可の内装仕上工事業を持っていて、一般建設業許可の管工事業を取得する場合は『業種追加』になります。
特定建設業許可の内装仕上工事業を持っていて、特定建設業許可の管工事業を取得する場合も『業種追加』になります。
特定建設業許可の内装仕上工事業を持っていて、一般建設業許可の管工事業を取得する場合は『般・特新規』になります。
一般建設業許可を青字、特定建設業許可を赤字で書いてみました。
要するに、最初に持っている許可が青字だけか赤字だけの場合に、そのまま色を揃えるのであれば『業種追加』で、持っていない色を新たに増やす場合は『般・特新規』になります。
それでは元々一般建業設許可の内装仕上工事業と特定建設業許可の管工事業を持っていて、一般建設業許可の塗装工事業を取得する場合はどうでしょう?
この場合は『業種追加』になります。
どうしてかと言うと、一般建設業許可も特定建設業許可も元々持っているので、持っていない色を新たに増やすということにはならないからです。
2.建設業許可の新規申請と業種追加って何がどう違うの?
許可要件は基本的に同じなんですが、業種追加だと提出する書類がちょっとだけ少なくて済みます。
あとは行政庁へ納付する申請手数料が新規申請よりも少し安くなります。
申請の区分 | 一般建設業又は特定建設業のいずれか一方のみの申請 | 一般建設業と特定建設業の両方同時の申請 |
---|---|---|
新規 | 9万円 | 18万円 |
業種追加 | 5万円 | 10万円 |
3.建設業許可要件(業種追加)を詳しく解説
① 経営業務管理責任者
経営業務管理責任者が常勤で働いていればOKです。
② 専任技術者
新たに追加する業種について、資格者または実務経験者を営業所に常勤で配置する必要があります。
一般建設業許可 | 学歴+実務経験者 |
---|---|
10年以上の実務経験者(電気工事業・消防施設工事業以外) | |
国家資格者 | |
特定建設業 | 国家資格者(1級) |
一般建設業許可の専任技術者の要件 + 指導監督的実務経験 (元請で4,500万円以上で通算が2年以上) |
|
大臣の認定者 |
※指定建設業・・・土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園の7業種の特定建設業許可については、専任技術者は実務経験者が就くことが出来ず、一級の国家資格者又は国土交通大臣特別認定者であることが必要です。
③ 財産的基礎等要件
建設工事を請負って、適正に施工できるかを業種追加時にも審査されます。
一般建設業の場合は、過去5年間引き続き建設業を営業した実績があれば良いのですが、まだ一度も更新をしていないときは直前の決算で自己資本の額が500万円以上あるか、金融機関が発行する500万円以上の残高証明書を準備してもらうことになります。
特定建設業の財産要件は、直前の決算期における財務諸表で特定建設業の財産的基礎要件をクリアしているかをチェックされます。
② 流動比率が75%以上であること。
③ 資本金の額が2,000万円以上であること。
④ 自己資本の額が4,000万円以上であること。
具体的には①~④までを全てクリアしている必要があり、一つでも充たすことが出来ない場合は特定建設業許可で業種追加をすることが出来ません。
というよりも、現在の特定建設業許可も維持できません。
特定建設業の財産要件は、直前に対策を取ればOKというわけにはいかず、日頃からクリアしているかをチェックしておく必要があります。
④ 欠格要件と誠実性
欠格要件ってご存じですか?
『これに該当したら許可をしません。』
『現在建設業許可がある場合に欠格要件に該当したら、現在の許可を取消します。』
という要件です。
欠格要件って聞いたことあるけど、詳しくは知らないという方は案外多いんじゃないでしょうか?
それは、欠格要件を自分自身が理解していなくて、お客さんに説明しない(出来ない)行政書士が意外と多いからです。
申請の際の書類としては『欠格事由に該当していません』という誓約書にハンコを押すだけの簡単な書類ですが、欠格要件に該当していないかについては、行政庁が警察に照会をかけて積極的に調べるので『みんな真面目やし、うちは大丈夫』と安易に考えてしまわずに、自分が該当していないか、他の役員・株主や営業所の所長が該当していないかを今一度ご確認ください。
つい最近、他の行政書士が欠格要件に該当していることをお客さんに聞取りせずに申請し、不許可になった会社のフォローをさせていただきました。
現行の許可が取消された場合は、他の役員や法人自体も欠格要件に該当することになり、大変どころの話ではありません。
自社の許可を守るために、ざっくりで良いので欠格要件を知っておいてください。
- 当該法人・法人の役員等・株主(5%以上取得)・令3条使用人・個人事業主・支配人が対象です。
□ 建設業法違反や建築基準法などに違反して処分された
□ 認知能力に問題があって成年被後見人や被保佐人である
□ 破産してまだ復権を得ていない
□ 許可を取消し等の処分(処分しないこと)から時間が経っていない
□ 許可申請でウソを書いたり、逆に都合の悪いことを書かず処分された
□ 暴力団員だ
簡単にいうとこんな感じです。
破産はダメですがブラックリストは大丈夫。
執行猶予中も欠格要件に該当します。
警察のお世話のレベルは、禁固刑以上は全部アウト。
罰金刑は人を殴るのは勿論、髪を引っ張ったり胸ぐらをつかむのもダメ、ケンカの野次馬もアカンし、ケンカを囃し立てるのも勿論アウト。
2人以上で他人や他人の物をに危害を与える目的で凶器を準備したり、準備させたりで罰金もアウト。
人を脅迫したり、任務に背いて依頼者に損害を与えて背任罪で罰金もアウトです。
これらの罪で罰金になるような人はダメっていうのは、別の建設業許可要件である『誠実性』とリンクします。
建設業許可を受けようとするものは、『誠実性』を有することが必要で、ここでいう『誠実性』を有するとは、『許可申請を行うものが請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれがないこと』です。
このような事があってから5年以上経っていないと、不正または不誠実な行為をするんじゃないの?と許可行政庁に思われてしまうという事なんでしょうね。
⑤ 社会保険に加入している(令和2年10月1日改正)
令和2年10月1日の改正で、『適切な社会保険に加入していること』というのが許可要件に追加されました。
社会保険加入が許可要件ということは、未加入の場合は業種追加できないということです。
具体的には、雇用保険・健康保険・年金保険の3保険が適切であるかをチェックされます。
法人の場合は従業員を1人でも雇用している場合は、雇用保険に加入する義務がありますが、役員だけしかいない場合は適用除外ですので、雇用保険に加入することが出来ません。
個人事業の場合も一人親方で従業員さんがいないときは、雇用保険は適用除外になります。
(国土交通省HPより)
業種追加についての主要な注意点をお話しさせていただきました。
もし、建設業許可の業種追加をご検討であるならば、一度当事務所へご連絡ください。
ご相談から建設業許可申請(業種追加)までの流れ
① | 電話かメールにて面談のご予約をお願いいたします(初回相談無料、2回目以降は5,000円/h)。 |
---|---|
② | 面談にて業種追加の要件を確認させていただきます。 |
③ | ご依頼いただけるのであれば、建設業許可申請の請負契約書を作成します。 |
④ | 着手金として報酬総額の30%+実費(各種証明書・指定権者への納入費用)をお振込みください。 |
⑤ | 本店へお伺いし、必要書類をお預かりさせていただきます。 |
⑥ | 書類作成、各種証明書を取得します。 |
⑦ | 押印書類を作成します。 |
⑧ | 本店にお伺いさせていただき、押印書類へ印鑑を頂戴いたします。 |
⑨ | 許可行政庁へ申請(大阪府の標準処理期間は補正が解消されてから30日です) |
⑩ | 申請(補正解消)から30日後に建設業許可通知書が本店へ送付されます。 |
手続報酬について
事件名 | 報酬額(税別) | 摘要 |
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業種追加(一般・個人・知事許可) | 80,000円~ | 許可の種類・会社の規模・専任の技術者の要件により増額あり |
業種追加(一般・法人・知事許可) | 90,000円~ | 許可の種類・事業の規模・専任の技術者の要件により増額あり |
※手続報酬とは別に、業種追加には許可行政庁へ払込む申請手数料と各種証明書の実費が発生いたします。
実務経験者を専任技術者とする場合、追加料金3万円~とさせていただきます。